スペイン、マドリード市長「低排出ゾーン」廃止に言及-環境移行省等はEU要件を懸念

2019年5月27日、スペイン、マドリード市の市長José Luis Martínez-Almeida氏は、昨年スペインの首都で導入された「マドリード中央低排出・混雑制限スキーム」(Madrid Central)は、地方選挙での右翼政党の勝利の流れに続いて、廃止されるだろうと言及した。

同氏は、Madrid Centralは、汚染という観点から失敗しているモデルだと述べ、マドリードの車両フリートを更新するための2億ユーロの補助金を含む代替措置に言及した。

2019年2月に公表されたスペインの国家エネルギー・気候計画案は、2023年までにすべての中規模および大都市に低排出ゾーンを設けることを義務付けている。さらに、大気汚染から市民を保護する国の行動は欧州委員会によって監視されている。

EUは2018年にマドリードを含む3つのゾーンがNO2レベルを超過していることを背景とした動きの一環で、スペインを裁判にかけない決定を下したが、その背景には、政府がMadrid Centralを含め、大気汚染防止計画を提出し、必要な措置を講じるという前提があった。

スペイン政府の科学的調査評議会(CSIC)の専門家によると、Madrid CentralがNO2や微粒子削減に効果的であるというデータは存在しているという。欧州委員会の承認を得るためには、何らかの代替措置が必要となるだろうと続けて言及している。

スペイン環境移行省のTeresa Ribera大臣は、Madrid Centralをめぐる誤った議論は、次の三つの事実を無視しているという。

■スペイン各都市に課せられているEUの大気質要件

■マドリード市民の健康についての軽視

■市民意識の醸成