ドイツで、交通部門を対象とした「燃料の温室効果ガス削減令改正令」が施行

ドイツで、交通部門を対象とした「燃料の温室効果ガス削減令を改正するための2019年5月21日の政令(燃料温室効果ガス削減令改正令)」が同年5月24日付のドイツ連邦官報で公布され、翌日施行された(以下のURLに官報版)。

https://www.bgbl.de/xaver/bgbl/start.xav?startbk=Bundesanzeiger_BGBl&start=//*%5b@attr_id=%27bgbl112s0409.pdf%27%5d#__bgbl__%2F%2F*%5B%40attr_id%3D%27bgbl119s0742.pdf%27%5D__1559181735274

本政令は、次のEU法の要求事項を満たすためのものである。

  • EU再生可能エネルギー利用促進指令2009/28/ECの第4条第3(加盟国は、再生可能エネルギーの推定余剰生産量と推定需要に関する予測文書を公表し、欧州委員会に通知しなければならない)
  • EU燃料品質指令98/70/ECの第7a(温室効果ガス排出量の削減;加盟国は、燃料中のエネルギー単位あたりのライフサイクル温室効果ガス排出量を、2020年12月31日までに可能なかぎり徐々に最大10%削減するよう、燃料供給業者に求める)

 

上記のEU法で指定された目標は、各年に達成しなければならない目標値を%で示したものである。温室効果ガス排出量取引制度に関するドイツの排出枠割当法では、排出枠の割当達成方法の柔軟な措置を想定している。つまり、排出量がある義務年度の割当を下回った場合の超過達成分を、要請に基づき、それに続く義務年度に繰り越すことができる(いわゆる「繰り越し(banking」)。しかしまた、ある義務年度の実際の排出量が排出割当を上回ってしまった場合、たとえば2020年度の割当分の相当部分を、事実上2019年度分として充当することも可能である(いわゆる「前借り(borrowing」。いっぽう、2019年度の割当の超過達成分を2020年度に繰り越しても、その分を各国のEU目標達成率の計算には算入できない仕組みになっている。EU指令は、そこまでの柔軟性を予定していないからである。

 

そこで今回、「燃料中の温室効果ガス削減令」を次のように改正した。

(1)ドイツのEU排出目標の達成を確実にするため、ドイツの燃料供給業者が上市した燃料(ガソリン、軽油、バイオ燃料)から排出される温室効果ガスを対象に、排出割当の超過達成分を次年度に繰り越すという柔軟性の仕組みを、2019年度から2020年度への繰り越し分に関して一時停止する2019年度の超過達成分は、2020年度の超過達成分と同様に、2021年度分として繰り越せるものとする

(2) 液化バイオメタン(Bio LNG)燃料も、温室効果ガス割当に算入することとする。