米ニューハンプシャー州知事、州有車等ZEV化法案に拒否権発動

米ニューハンプシャー州議会で、州が所有または賃借する車両を2039年までにすべてゼロ・エミッション・ヴィークル(ZEV)にする法案(SB 275法案)が2019年5月31日に上下両院を通過したが、クリス・スヌヌ知事が同年6月25日にこの法案に拒否権を発動し、けっきょく、この法案は州法として成立するに至らなかった。なお、同州の議会は上下両院とも民主党が多数を占めているが、知事は共和党である。

この州有車等のZEV化にはおよそ2800万ドル(約30億円)がかかると見込まれている。スヌヌ知事は拒否権を発動した6月25日にこう述べている。「ニューハンプシャー州はこの問題に関してすでに大きく前進しており、何ら根拠のない目標年を設定して納税者の負担を不必要に増やすべきではない」

 

他の北東部諸州とは一線を画す:

米北東部と中部大西洋岸では、コネチカット、デラウェア、メリーランド、マサチューセッツ、ニュージャージー、ペンシルベニア、ロードアイランド、バーモント、およびバージニアの9つの州とワシントンDCが、輸送部門からの温室効果ガス(GHG)排出抑制プログラムを推進している。

これら各州とワシントンDCは、やはり北東部および中部大西洋岸の諸州等が進めている地域の輸送・気候イニチアチブにも加わっている。このイニシアチブは、北東部諸州が発電所を対象に共同で実施しているキャップ・アンド・トレード方式のプログラム、地域温室効果ガス・イニシアチブ(RGGI)を模したもので、自動車燃料に由来するGHGの年間排出量に上限を設け、その上限を超える分については燃料供給者がオークションで排出枠を購入するというものである。

今回のニューハンプシャー州知事の拒否権発動は、同州がこれら諸州およびワシントンDCの進む方向とは一線を画すことを明確に示したものといえる。ちなみにニューハンプシャー州は、ニューイングランド地方で輸送・気候イニシアチブに参加していない唯一の州である。

 

なお、SB 275法案のテキストは以下のURLで読むことができる。

https://legiscan.com/NH/text/SB275/id/2031268