米ノースカロライナ州で、電気自動車(EV)の充電に分単位ではなくキロワット時(kWh)単位での課金を可能にする内容を含む法案――再生可能エネルギー改正法案(下院法案第329号)――が議会を通過し、2019年7月19日にロイ・クーパー知事が署名してこれが州法として成立した。これにより、kWh単位の課金が可能な州は合わせて30州となった。
kWh単位の課金に積極的なのはTeslaのみ:
米国には、充電スタンドを経営している大手企業が4社あり、そのビジネス・モデルは大きく3つに分けることができるが、kWh単位の課金が好ましいと公式に表明しているのはそれら大手のうちTeslaだけである。
Teslaはかねてから、kWh単位の課金が「最もフェアで簡単な方法」だとしており、1 kWhあたりの充電価格を0.28ドル(約30円)に設定している。
充電スタンド任せのChargepoint:
大手充電スタンド・チェーンのChargepointは自前のスタンドをもたず、個別のスタンド・オーナーと契約して事業を展開している。Chargepoint自体はkWh単位の課金に賛成しているが、実際には課金方式を個々の契約スタンドに任せている。ただ、中部大西洋岸諸州でChargepointと契約しているガソリンスタンド・チェーンのRoyal Farmsは、Teslaと同じ1 kWhあたり0.28ドルで充電サービスを提供している。
分単位課金のEVgoとElectrify America:
残る2社――EVgoとElectrify America――は、それぞれ独自の分単位課金をおこなっている。
このうちEVgoは34州に直流急速充電(DCFC)スタンドをもつが、そのほとんどは最大充電速度が50 kWで、それらスタンドでは充電価格を1分あたり0.30ドル(約32円)に設定している。
いっぽう、高電力の急速充電スタンドを全米で最も多く擁すると自称しているElectrify Americaは、EVのモデルによって分単位の充電価格を3段階に設定している。たとえばカリフォルニア州では、最大受電速度が125 kWを超える車種(Teslaのほとんどのモデルがこれにあたる)には1分あたり0.99ドル(約100円)、76 kWから125 kWまでの車種には1分あたり0.69ドル(約73円)、また、75 kW以下の車種には1分あたり0.25ドル(約26円)を課金している。
なお、ノースカロライナ州で成立した再生可能エネルギー改正法のテキストは、以下のURLで読むことができる。
https://www.ncleg.gov/Sessions/2019/Bills/House/PDF/H329v4.pdf