南ア自動車工業会、EVシフトに向けた提案書を南ア政府に提出へ

南アフリカ自動車工業会がEV輸入関税の引き下げ等を含むEVシフトに向けた提案書を同国政府に提出する予定である。

 

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南アフリカ自動車工業会(NAAMSA)のマイク・マバサ代表はこのほど、NAAMSAの電気自動車(EV)アドバイザリーチームが同国の輸送部門の電化に関する提案書を貿易産業省に提出すべく準備を進めていると語った。同代表によると、南ア政府がEVシフトに向けて重視すべき5つの項目が同提案書に盛り込まれる。

①自国生産のEV工場の設立、

②EV/PHEVの国内普及に向けてのガイドラインを盛り込んだ明確な政策枠組みの策定、

③国内充電インフラの拡充、

④EV輸入関税の23%の引き下げ(現在の関税率は45%)、

➄EV技術及びコンポーネンツをめぐる検討、

 

マバサ代表は、「我が国の自動車市場に関して言えば、輸出が国内を上回っている。他方、二酸化炭素排出量を30%低減する目標が世界的に広がっており、目標を達成するうえでEVにシフトする国々が増えている。EVの自国生産に向けて事前に準備しておく必要がある」と述べた。また、同国エブラヒム・パテル貿易産業相は、議会での質疑応答において、「EV/PHEVの自国生産に関して、自動車メーカー各社と協議を重ねており、我が国としては、自動車市場の成長に合わせた生産能力を確保すべきであると考えている」と語った。

 

南アフリカの自動車登録台数は約1200万台であるが、うちEVはわずか1000台程度にとどまっている。日産リーフの販売が開始されたのは2013年、続いて2015年にBMWの「i3」、2019年初めにジャガーランドローバーの「i-Pace」が市場に出た。自動車産業が国内総生産に占める割合は7%、年間生産台数は61万台であるが、うち58%が輸出向けとなっている。トヨタ、日産、フォードは同国に工場を有しているが、ガソリン・ディーゼル車の生産に限定している。

 

同国におけるEV開発で問題となるのは、電力調達であると思われる。国営電力会社エスコムの経営状況は悪化しており、2019年3月期の純損失は207億ランド(約1473億円)に上る。