ドイツでは2016年7月以来、連邦政府と自動車業界による、電動車を対象とする購入奨励金「環境ボーナス(Umweltbonus)」が支給されている。現行制度は2019年末を期限としているが、ドイツ連邦経済省(BMWi)は2019年5月31日、これを2020年12月31日まで正式に延長することを発表した。そして、この旨を定めた指針(以下の関連文書(2))が2019年6月5日付けの連邦官報(Bundesanzeiger)に掲載された。同指針は、2019年7月1日に発効し、2020年12月31日に失効する。
その支給額を含め、ほぼ現行制度のまま延長される。主要ポイントは以下の通り。
- 対象:以下に該当する、新しい、かつ初めて登録される自動車の取得(購入あるいはリース)
- 純粋な電気自動車
- プラグインハイブリッド(CO2排出量50g/km以下)
- 燃料電池自動車
- 支給額:EV 4000ユーロ(約49万円)、PHEV 3000ユーロ(約37万円)
- 申請適格者:個人、企業、財団、社団、協会
- 車両要件:標準モデルの定価(税別)が最大で6万ユーロ(約733万円)であること
- 全体予算:12億ユーロ(約1467億円)、連邦政府と自動車業界が半分ずつ出資
- 支給期間:2020年末を最終期限として、上記予算(連邦政府負担分の6億ユーロ)がなくなるまで
- 申請窓口:連邦経済・輸出管理庁(Bafa)
なお、新たに「車両接近通報装置(AVAS:Acoustic Vehicle Alerting System)」(車両が接近していることを音で歩行者に知らせるシステム)の後付けを対象とする一律100ユーロ(約1万2200円)の補助金支給が導入されている。
参考情報
Bafaの統計データによると、2016年7月の助成開始から今年4月までの申請件数はわずか11万3993件(内訳は、EVが7万4906台、PHEVが3万9027台、燃料電池車が60台)。計画では、今年6月までに約30万台の乗用車を助成する予定であった。
関連文書(ドイツ語)
- 連邦経済省プレスリリース(2019年5月31日発行)
- 電気駆動自動車の販売促進のための2019年5月30日のドイツ連邦経済省(BMWi)による指針(環境ボーナス)
- 連邦経済・輸出管理庁(Bafa)発行 環境ボーナス支給対象EVリスト(2019年5月31日現在)
注)円換算は1ユーロ=約122円で計算