EU


欧州連合(EU)におけるエコカー政策、関連規制の概要をご紹介するページです。

EnviX担当者の最近の見解【EnviX View】※会員ページ


クリーンで競争力のあるコネクティッド・モビリティに向けたEU長期戦略Europe on the Move

(別称:クリーンモビリティ・パッケージ(Clean Mobility Package))

公共利用可能なEV充電ポイントの設置推進

私有地内におけるEV充電ポイントの設置推進

政府関連機関等が自動車を調達する際のグリーン調達基準設定

欧州電池アライアンス(EBA:European Battery Alliance)

クリーンで競争力のあるコネクティッド・モビリティに向けたEU長期戦略Europe on the Move
(別称:クリーンモビリティ・パッケージ(Clean Mobility Package))

【政策・施策群】
Europe on the Move I (2017年5月31日発表
“https://ec.europa.eu/transport/modes/road/news/2017-05-31-europe-on-the-move_en”

Europe on the Move II (2017年11月8日発表)
“https://ec.europa.eu/transport/modes/road/news/2017-11-08-driving-clean-mobility_en”

Europe on the Move III (2018年5月17日発表)
“Europe on the Move: Commission completes its agenda for safe, clean and connected mobility”

【開始時期】2017年5月

【概要】
欧州委員会は2016年7月、交通部門のエミッションを削減し、パリ協約におけるEUのコミットメントを果たすことを目的として、≪低排出モビリティに向けたEU戦略(COM(2016)501)≫と題するコミュニケーションを発表しました。同戦略は、1) 交通システムの効率向上、2) 交通部門向けの低排出代替エネルギー開発促進、3) ゼロエミッションカーへの移行、の3つの柱を中心とする、広範なイニシアチブや開発対象分野をまとめたものです。そして、この戦略を実行に移すための具体的な施策や法案等をまとめたものが、2017年5月、同11月、2018年5月の3段階にわたって発表された、≪クリーンモビリティ法案パッケージ(Clean Mobility Package)≫となります。

クリーンモビリティについて

初となる重量車を対象とするCO2排出基準を策定することで、欧州委員会は低炭素モビリティシステムに関するアジェンダを完成させようとしています。2025年には、新規トラックからのCO2排出は2019年より15%削減されていることを見込んでおり、2030年には、2019年と比較して少なくとも30%の削減目標が提案されています。これらの目標は気候変動に関するパリ合意のもとでのEUの公約との一貫性を有していると位置づけられています。空力学的に優れたトラックの設計、タイヤのラベル表示の改善、バッテリーに関する包括的なアクションプランの策定などが挙げられている。

提案リスト≪クリーンモビリティ法案パッケージ≫

1.コミュニケーション(戦略文書)
■Europe on the move: Sustainable Mobility for Europe: safe, connected, and clean
■A Europe that protects: Clean air for all

2.道路安全フレームワーク

3.道路インフラ安全マネジメント指令の改定

4.コネクテッド・自動化モビリティ

5.欧州海洋シングルウィンドウ環境

6.海洋輸送フィットネスチェック

7.輸送に関する電子文書化(E-documentation)

8.TEN-T実施に関する施策円滑化
※Trans-European Network for Transport (TEN-T)

9.重量および寸法

10.燃料価格比較

11.タイヤのラベル表示
■Proposal for a Regulation on the labelling of tyres with respect to fuel efficiency and other essential parameters and repealing Regulation (EC) No 1222/2009
■Impact assessment
■Executive summary of the impact assessment

12.バッテリー・イニシアチブ/アライアンス
■Report on Raw Materials for Battery Applications
■Strategic Action Plan on Batteries

13.大型トラックに関するCO2排出基準
■Proposal for a regulation setting CO2 emission performance standards for new heavy-duty vehicles
■Impact assessment
■Executive summary of the impact assessment
■Q&A on the proposal for CO2 emission standards for heavy duty vehicles


公共利用可能なEV充電ポイントの設置推進

【関連法令】
代替燃料補給インフラ配備に関する欧州議会及び理事会指令2014/94/EU
“Directive 2014/94/EU of the European Parliament and of the Council of 22 October 2014 on the deployment of alternative fuels infrastructure”

【開始時期】2014年10月

【概要】
同指令は、インフラ構築の最低基準を設定し、この最低基準を満たすための期限として、燃料種類やインフラ別に2020年、2025年、2030年のデッドラインを設けています。EU加盟国は、2016年11月18日までに、同指令を国内法に置き換えると共に、代替燃料を供給する最低限のインフラ設置に関する目標を定めた「国内政策枠組み(national policy framework)」を欧州委員会に提出することを義務付けられています。

※フランスの事例※

国内法化法令:
「代替燃料のためのインフラストラクチャーの整備に関する2014年10月22日の欧州議会及び欧州理事会の2014年10月22日の指令2014/94/EUの国内法化のための様々な規制措置に係わる2017年12月8日の政令n° 2017-1673」

公布日:2017年12月9日

フランスは2017年初め、欧州指令2014/94/EUに基づく代替燃料の開発に向けた国の政策枠組みを欧州委員会に提示した。この政策は「グリーン成長のためのエネルギー転換に関する2015年8月17日の法律n°2015-992」にも、特に2030年までに電気自動車の充電スタンドを700万カ所設置するなどの目標として盛り込まれている。

また、「電気自動車の充電のためのインフラストラクチャーに係わり、代替燃料のためのインフラストラクチャーの整備に関する2014年10月22日の欧州議会及び欧州理事会の2014年10月22日の指令2014/94/EUの国内法化のための様々な規制措置に係わる2017年1月12日の政令n° 2017-26」では、充電スタンドの標準化について規定されている。


私有地内におけるEV充電ポイントの設置推進

【関連法令】
建物のエネルギー性能に関する2010年5 月19日の欧州議会及び理事会指令2010/31/EU(EPBD)
“Directive 2010/31/EU of the European Parliament and of the Council of 19 May 2010 on the energy performance of buildings”

≪建物のエネルギー性能に関する指令2010/31/EU≫と≪エネルギー効率に関する指令2012/27/EU≫を改正する2018年5月30日の欧州議会および理事会指令(EU)2018/844)
“Directive (EU) 2018/844 of the European Parliament and of the Council of 30 May 2018 amending Directive 2010/31/EU on the energy performance of buildings and Directive 2012/27/EU on energy efficiency “

【開始時期】改正指令(EU)2018/844は2018年6月19日公布、同年7月9日発効。

【国内法化期限】2020年3月10日

【概要】
EPBD改正指令では次のような規定が盛り込まれています。

改正指令EU2018/844に含まれる、主なEV充電インフラ関連条項

  • 82項:非居住用建物を対象とする要求事項

10台以上の駐車スペースを備える≪新築非居住用建物≫および≪大規模改修工事の対象である非居住用建物≫に関連し、

(a)  駐車場が建物の内部に位置しており、かつ、大規模改修工事対象建物においては、改修対象の中に≪駐車場≫または≪建物の電力インフラ≫が含まれている

(b)  駐車場が物理的に建物に隣接しており、かつ、大規模改修工事対象建物においては、改修対象の中に≪駐車場≫または≪駐車場の電力インフラ≫が含まれている

のいずれかに該当する場合は、加盟国は、≪指令2014/94/EUの意味における充電ポイントを少なくとも一台設置すること≫および≪あとからEV用充電ポイントを設置できるように、最低5台に1台の割合で、ダクト基盤(ducting infrastructure)、すなわち電気ケーブル用コンジット(conduits for electric cables)を設置すること≫を確実にしなければならない。

  • 83項:加盟国に対する充電ポイントの最低設置台数規定義務

加盟国は、2025年1月1日までに、20台以上の駐車スペースを備えるすべての非居住用建物を対象として、充電ポイントの最低設置台数に関する要求事項を規定しなければならない。

  • 85項:居住用建物を対象とする要求事項

10台以上の駐車スペースを備える≪新築居住用建物≫および≪大規模改修工事の対象である居住用建物≫に関連し、

(a)  駐車場が建物の内部に位置しており、かつ、大規模改修工事対象建物においては、改修対象の中に≪駐車場≫または≪建物の電力インフラ≫が含まれている
(b)  駐車場が物理的に建物に隣接しており、かつ、大規模改修工事対象建物においては、改修対象の中に≪駐車場≫または≪駐車場の電力インフラ≫が含まれている

のいずれかに該当する場合は、加盟国は、あとからEV用充電ポイントを設置できるように、すべての駐車スペースにダクト基盤、すなわち電気ケーブル用コンジットを設置することを確実にしなければならない。


政府関連機関等が自動車を調達する際のグリーン調達基準設定

【関連法令】
クリーンでエネルギー効率のよい一般道路車両の推進に関する指令2009/33/ECの改正

■2019年7月12日改正指令公布■
Directive (EU) 2019/1161 of the European Parliament and of the Council of 20 June 2019 amending Directive 2009/33/EC on the promotion of clean and energy-efficient road transport vehicles

【開始時期】2019年8月1日発効

【概要】
指令2009/33/ECは2009年6月4日に施行され、EU加盟各国はこれを2010年12月4日までに国内法化することが義務付けられました。同指令は、政府関連機関等が自動車を調達する際のグリーン調達基準を定めるもので、使用期間中のエネルギー消費量、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、非メタン炭化水素(NMHC)、粒子状物質(PM)の排出量を考慮することを求めると共に、その計算方法を規定しています。ところが、同指令の効果は思うように上がらず、極めて限定的と評されました。そこで欧州委員会は2017年11月、≪第二次クリーンモビリティ法案パッケージ:Europe on the Move II≫の中で、同指令の改正案(COM/2017/0653)を提出し、自動車カテゴリー及び各加盟国別に、公共調達の対象である全車両に占める「クリーン自動車」の最低比率を設定することを提案するに至っています。

改正指令は、初めて公共調達自動車に占めるゼロ・低エミッション自動車の拘束力を伴う最低比率を加盟国毎に定めるものである。

●POINT●

最低調達目標の設定
「最低調達目標(minimum procurement targets)」は、公共調達全車両に占めるクリーン自動車の比率を、それぞれ2025年末と2030年末を期限とする、二つの基準期間を対象として、自動車の種類及び加盟国別に定めたものである。具体的な数値は、附属書の表3(クリーン軽量自動車)と表4(クリーン重量自動車)に示されている。

表3

加盟国

2021年8月2日~2025年12月31日

2026年1月1日~2030年12月31日

Luxembourg

38,5 %

38,5 %

Sweden

38,5 %

38,5 %

Denmark

37,4 %

37,4 %

Finland

38,5 %

38,5 %

Germany

38,5 %

38,5 %

France

37,4 %

37,4 %

United Kingdom

38,5 %

38,5 %

Netherlands

38,5 %

38,5 %

Austria

38,5 %

38,5 %

Belgium

38,5 %

38,5 %

Italy

38,5 %

38,5 %

Ireland

38,5 %

38,5 %

Spain

36,3 %

36,3 %

Cyprus

31,9 %

31,9 %

Malta

38,5 %

38,5 %

Portugal

29,7 %

29,7 %

Greece

25,3 %

25,3 %

Slovenia

22 %

22 %

Czechia

29,7 %

29,7 %

Estonia

23,1 %

23,1 %

Slovakia

22 %

22 %

Lithuania

20,9 %

20,9 %

Poland

22 %

22 %

Croatia

18,7 %

18,7 %

Hungary

23,1 %

23,1 %

Latvia

22 %

22 %

Romania

18,7 %

18,7 %

Bulgaria

17,6 %

17,6 %

※重量車(トラックおよびバス)については同改正指令表4を参照。

適用範囲の拡大

指令の適用範囲は「購入以外の調達」、すなわち車両リースや分割払い式購入(rent or hire-purchase)にも拡大される。また、新しいルールは道路輸送サービス、緊急旅客輸送サービス、ごみ収集、郵便・小包配送サービス等の幅広い公共サービス分野でも適用される。

加盟国の国内法化の期限:2021年8月2日

 


欧州電池アライアンス(EBA:European Battery Alliance)

【関連文書】
EBAロードマップ:(2018年2月23日欧州委員会公表)
“Speech by Vice-President for Energy Union Maroš Šefčovič at the Industry Days Forum on the Industry-led initiative on batteries / the EU Battery Alliance”

「電池に関する戦略的アクションプラン」(COM(2018) 293 Annex2):( 2018年5月17日欧州委員会発表)
“ANNEX 2 – Strategic Action Plan on Batteries”

【開始時期】2017年10月

【概要】
2017年10月11日、ブリュッセルにて、欧州委員会のマロシュ・シェフチョビッチ(Maroš Šefčovic)副委員長兼エネルギー同盟担当委員の主催により、「欧州における電池開発ならびに製造に関するEU高官レベル会議)」(通称:「EU電池サミット」)が開催されました。この中でシェフチョビッチ副委員長は、リチウムイオン電池セルの大規模生産及び循環型経済の実現を中核に据えた、産業界、加盟国、そして欧州投資銀行による協力を進めるためのプラットフォームとして、「欧州電池アライアンス(EBA:European Battery Alliance)」を立ち上げることを宣言ししました。その後、2018年2月にこのためのロードマップ、そして5月にアクションプランが発表され、革新性、持続可能性、そして競争力を伴う欧州の「バッテリー・エコシステム(battery ecosystem)」を構築するための具体的な施策が提示されています。

【アクションプラン概要】

■EU域外の資源国から電池の原材料の入手手段を確保し、さらにEU内の供給源へのアクセス、そして電池のリサイクルによる二次原料へのアクセスを容易にする。
⇒ この点に関連して、アクションプランと同時に、欧州委員会スタッフ作業文書「電池アプリケーション向け原材料に関する報告書」(SWD(2018) 245、英語、原文は以下URL参照)も公開されている。
https://ec.europa.eu/transport/sites/transport/files/3rd-mobility-pack/swd20180245.pdf

■EUにおける電池セル製造とバリューチェーン全体をサポートする。主要企業および加盟国や地域の当局を一つにまとめ、加盟国および欧州投資銀行と協力して(国境を越えた)大規模統合生産プロジェクトを援助する。

バッテリー・バリューチェーン

(Source: 欧州委員会)

■リチウムイオン電池をはじめとする先進技術や、全固体電池などの破壊的技術(disruptive technologies)を対象とする研究・イノベーションの促進を通して、欧州産業のリーダーシップを強化する。

■EUレベル、また加盟国レベルにおけるスキルの格差を埋めるために、バリューチェーン全体にわたり高度な人材や労働力を開発・育成する。適切なトレーニングなどの提供を通して、電池開発製造分野のエキスパートにとって、欧州が魅力的な場所になるようにする。

■環境フットプリントを最小限に抑え、EUの電池セル製造産業の持続可能性を維持する。このためには、安全性と持続可能性を伴うEU電池製造関連の各種要件を設定する必要がある。

■低排出モビリティ戦略(COM(2016)501)や過去のクリーンモビリティ法案パッケージなど、広範にわたるEUの規制と授権の枠組みの一貫性を保つ。


欧州委員会(European Commission)

https://ec.europa.eu/commission/index_en
規制・政策全般に関連。EUの行政機関として、法令の立案、政策の施行、法の執行等を行います。

欧州議会(European Parliament)
http://www.europarl.europa.eu/portal/en
規制・政策全般に関連。28の加盟国から直接選挙で選出された議員で構成されるEUの立法機関です。

欧州連合理事会(Council of the European Union)
注:EU理事会、閣僚理事会とも呼ばれます。
http://www.consilium.europa.eu/
規制・政策全般に関連。各加盟国政府を代表する閣僚(大臣)によって構成され、欧州議会とともにEUの立法を司る組織です。


欧州環境庁(EEA:European Environmental Agency)

https://www.eea.europa.eu/
代替燃料自動車の登録台数、新車CO2排出量など

欧州代替燃料オブザベイトリー(EAFO:European Alternative Fuel Observatory)
(注:欧州委員会によるイニシアチブ)
http://www.eafo.eu/

欧州自動車工業会(ACEA)
http://www.acea.be/
代替燃料自動車を含め、自動車全般に関わる統計

国際エネルギー機関(IEA)
https://www.iea.org/
『グローバルEVアウトルック』のほか、『北欧EVアウトルック』なども発行