日本におけるエコカー政策、関連規制の概要をご紹介するページです。
-総合政策・戦略-
首相官邸・日本経済再生本部-成長戦略
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kettei.html
経済財政運営と改革の基本方針2019(2019年6月21日)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/2019_basicpolicies_ja.pdf
成長戦略実行計画(2019年6月21日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ap2019.pdf
成長戦略フォローアップ(2019年6月21日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2019.pdf
-自動車戦略-
「自動車新時代戦略会議」の中間整理(2018年8月31日)
http://www.meti.go.jp/press/2018/08/20180831007/20180831007-3.pdf
-エコカー戦略-
EV・PHVロードマップ検討会報告書(2016年3月)
水素・燃料電池戦略ロードマップ(2019年3月)
https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190312001/20190312001-1.pdf
エコカー減税(自動車重量税)
グリーン化特例・環境性能割(自動車税・軽自動車税)
エコカー減税、グリーン化特例と環境性能割についての詳細は【自動車に関する税の種類■日本■】をご参照ください。
エコカー補助金
国が支給する補助金の例:
クリーンエネルギー自動車:
http://www.cev-pc.or.jp/#no01
充電インフラ:
http://www.cev-pc.or.jp/#no02
水素充填設備:
http://www.cev-pc.or.jp/#no03
※過去の政策
低公害車開発普及アクションプラン(2001年7月)
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/main_02.html
次世代自動車戦略2010(2010年4月)
http://www.meti.go.jp/policy/automobile/evphv/material/pdf/last_report.pdf
経済財政運営と改革の基本方針2019(2019年6月21日)や成長戦略実行計画(2019年6月21日)は今後の日本の取組みに関する大方針を定めるものですが、重要かつ新規のキーワードについては、どの分野の未来戦略を把握する上でも必要となってきます。
Society 5.0
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。
内閣府では、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と表しています。
Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、知識や情報の共有不足、分野横断的な連携の不十分さ、情報分析の煩雑さなどの課題や困難を克服するとともに、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようにすることで、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題を克服していくとしています。
経済財政運営と改革の基本方針2019や成長戦略実行計画の両大方針では、このSociety 5.0を今後の方針に言及する上での中心に位置づけています。
MaaS(Mobility as a Service)
「マース」と呼ばれるこの新たな概念は、国土交通省政策研究所によると「MaaSは、いろいろな種類の交通サービスを、需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合することである」というMaaS Allianceの定義を紹介した上で、「マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念」として解説しています。
経済財政運営と改革の基本方針2019では、「鉄道・バス等を一体的に検索・予約・決済できるシステム」と簡単に紹介しています。他方、成長戦略実行計画では「複数の交通手段や行先での宿泊・サービスの予約などをスマートフォンで一括して手配し、キャッシュレスで、無駄な待ち時間なく、スムーズに移動できる便利なサービス」と説明しています。
CASE
上記大方針の文書ではなく、自動車新時代戦略会議の中間整理の背景としてこの概念が用いられています。ツナガル(Connectivity)・自動化(Autonomous)・利活用(Shared&Service)・電動化(Electric)の頭文字をとって「ケース」として知られる新たな技術革新の波、今後重要だと目されているキーワード群を指して用いられています。
「CASE」は自動車業界にとって非常に重要な概念であり、本サービスもこのうちの「E=電動化」に焦点をあてて情報をお届けするものです。
大方針ではエコカーについて具体的に触れられている箇所は少ないため、必要に応じて原文を参照ください。
成長戦略
【政策】
未来投資戦略2018
【概要】
日本政府が近年、毎年公表している成長戦略。2013年~2016年までは「日本再興戦略」、2017年以降は「未来投資戦略」として公表されています。戦略の中で、今後取り組む重点分野と、変革の牽引力となる「フラッグシップ・プロジェクト」の一つに、 <「自動化」:次世代モビリティ・システムの構築プロジェクト >や、<エネルギー転換・脱炭素化に向けたイノベーションの推進 >が含まれており、自動運転や、蓄電池、電気自動車、燃料電池自動車等の次世代自動者の普及推進が含まれています。
【政策】
「自動車新時代戦略会議」の中間整理(2018年8月31日)
【概要】
2018年4月に設置された「自動車新時代戦略会議」で進めている検討の中間報告。「世界に掲げる長期目標」として、「2050年までに世界で供給する日本車について世界最高水準の環境性能を実現する」ことを目指すとしています。その水準としては、2度シナリオを前提とした環境性能水準として2050年までに自動車1台、1kmあたりの温室効果ガス排出量を2010年比で8割程度削減(乗用車については9割程度削減)することを目指すとしています。この水準が達成される場合、様々な前提によるという前置きを置いた上で、乗用車の電動車率は100%に達することが想定されています。
未来投資戦略2018でも触れられた2030年までの次世代自動車の普及目標は以下の通りとなっています。
日本の次世代自動車の普及目標(政府目標)と現状
2017年 | 2030年 | ||
従来車 | 63.6%(279.1万台) | 30~50%以上 | |
次世代自動車 | 36.4%(159.5万台) | 50~70% | |
ハイブリッド車 | 31.6%(138.5万台) | 30~40% | |
電気自動車 プラグイン・ハイブリッド車 |
0.41%(1.8万台) 0.82%(3.6万台) |
20~30% | |
燃料電池自動車 | 0.02%(849台) | ~3% | |
クリーンディーゼル自動車 | 3.5%(15.5万台) | 5%~10% |
また、日本政府は、自動車産業に関して目標に掲げるビジョンとして以下のものを表明しています。
Well-to-Wheel 「井戸から車輪まで」
燃料となる原油掘削から発電や精製、そして走行時までをカバーした概念で、「燃料を車に入れるまで」に限定した「Well-to-Tank」や、「燃料が車に入ってから走行まで=車単体のCO2排出量」を表した「Tank-to-Wheel」などの類似概念のうち、より広範囲をカバーする概念となります。
日本政府はより源流から、すなわち燃料の大元のプロセスから車の走行時までのCO2排出量について、ゼロエミッション化を目指すという野心的な目標をビジョンに掲げているということです。
なお、「電気自動車、プラグイン・ハイブリッド車」や「燃料電池自動車」のそれぞれの詳細な方針はロードマップも参考にする必要があります。
EV・PHVロードマップ
【政策】
EV・PHVロードマップ検討会報告書
【概要】
●車両販売・普及目標
-2030年までに電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の割合を20~30%まで引き上げる。
●経路充電
-空白地帯を埋めるとともに、道の駅や高速道路のサービスエリア、コンビニ、自動車販売店などの分かりやすい場所に計画的に配置する「最適配置」の考え方を徹底。
-短時間の充電が可能な急速充電器が利用されることが多い点を認識。
●目的地充電
-宿泊施設や大規模商業施設など、大規模で集客数の多い目的地から重点的に設置を促進すべき。
-EV・PHV稼働率や駐車場稼働率を仮定した試算に基づくと、2020年に向けて2万基程度(既設含む)が設置されると利便性が相当向上すると見込まれる。(2020年に100万台普及の場合)
-移動先での滞在中の駐車時間に行う充電等。
-ある程度まとまった時間の駐車が想定されるため、コストが押さえられる普通充電器が利用されることが多い点を認識。
●基礎充電(共同住宅)
-国民の約4割が居住している共同住宅にほとんど普及していないため、潜在市場の掘り起こしに向けて極めて重要な課題と位置づけ。
-年間で新築が約12万戸、大規模修繕35万戸、駐車場附置代数を戸数の65%と想定すると、分譲共同住宅の駐車場は約30万台分。2020年のEV・PHEV普及目標(100万台)に基づくと、このうちの1.5%に充電器が整備されることが望まれる。
●基礎充電(職場)
-自動車通勤の場合、大規模な事業所の通勤者60万人について、2020年のEV・PHV普及目標である1.5%を対象に充電器を用意するとすれば9000基/人を設置することとなる。
-職場で充電できる環境があれば、EV・PHVの選択が進む可能性が高まる。
水素・燃料電池戦略ロードマップ
【政策】
水素・燃料電池戦略ロードマップ
【概要】
●車両販売・普及関連目標
~2020年 | ~2025年 | ~2030年 | |
燃料電池車, FCV | 4万台 | 20万台 | 80万台 |
●燃料電池車とハイブリッド車との価格差
~2020年 | ~2025年 | |
価格差の目標値 | <180万円 | <70万円 |
※同車格のハイブリッド車と燃料電池車の間の価格差
●水素ステーション整備目標
~2020年 | ~2025年 | |
水素ステーション, ST | 160箇所 | 320箇所 |
●水素ステーション整備費・運営費目標
導入初期 | 2016年 | 2025年 | |
整備費合計 | 4.6億円 | 3.5億円 | 2億円 |
-圧縮機 | 1.4億円 | 0.9億円 | 0.5億円 |
-蓄圧器 | 0.5億円 | 0.5億円 | 0.1億円 |
-プレクーラー | 0.3億円 | 0.2億円 | 0.1億円 |
-ディスペンサー | 0.6億円 | 0.2億円 | 0.2億円 |
-その他工事費 | 1.8億円 | 1.7億円 | 1.1億円 |
運営費 | 4~5千万円 | 3~4千万円 | 1.5千万円 |
●燃料電池バス
~2020年 | ~2030年 | |
燃料電池バス, FCバス | 100台 | 1200台 |
●燃料電池システムおよび水素貯蔵システムの技術開発目標
スペック目標 | 現在 | 2020年 | 2025年 | 2030年 |
航続距離 | 650 km | ⇒ | ⇒ | 800 km |
最大出力密度 | 3.0 kW/L | 4.0 kW/L | 5.0 kW/L | 6.0 kW/L |
耐久性 | 乗用車15年 | 乗用車15年以上 | 乗用車15年以上・商用車15年 | 乗用車15年以上・商用車15年以上 |
貴金属使用量 | - | - | - | 0.1g/kW |
水素貯蔵システム (貯蔵量5kg相当の場合) |
5.7 wt% | 6 wt% | - | - |
コスト・価格水準 | 現在 | 2020年 | 2025年 | 2030年 |
車両価格(ミライ級) | 700 万円強 | - | 同車格のHV車同等の価格競争力 | - |
FCシステム(内、スタック) | 約2万円/kW | <0.8万円/kW (<0.5万円/kW) |
<0.5万円/kW (<0.3万円/kW) |
<0.4万円/kW (<0.2万円/kW) |
水素貯蔵システム(貯蔵量5kg相当の場合) | 約70万円 | 30~50万円 | <30万円 | 10~20万円 |
このほか、「遠隔監視による水素ステーション運転の無人化」「水素ステーションにおける低コスト鋼材使用」「2030年度まで1万台程の燃料電池フォークリフト導入」「2020年度まで水素ステーションの各機器の仕様や制御方法を統一するための業界統一規格の策定」「2020年を目処に船舶分野における水素利用拡大に向けた指針策定」など様々な論点が挙げられている。
エコカー補助金
国支給の補助金については、一般社団法人次世代自動車新興センターがまとめています。
エコカー減税や各種特例制度については、こちらの資料も参考になります。
経済産業省
http://www.meti.go.jp/
国土交通省
http://www.mlit.go.jp/
日本自動車工業会
http://www.jama.or.jp/
日本自動車部品工業会
http://www.japia.or.jp/
一般社団法人次世代自動車新興センター
http://www.cev-pc.or.jp/
一般財団法人自動車検査登録情報協会
https://www.airia.or.jp/index.html