ガソリン車・ディーゼル車の販売・登録の禁止方針

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ここ数年、多くの国で従来のガソリン車やディーゼル車の新規登録や販売を将来的に禁止・終了させる方針が公表されています。以下に、各国で打ち出された方針や検討されている方針を整理してご紹介しております。

国・地域 時期 方針
日本 2050年 2018年4月に設置された「自動車新時代戦略会議」で進めている検討の中間報告で、検討されている目標水準が達成される場合、様々な前提によるという前置きを置いた上で、乗用車の電動車率は100%に達することが想定されています。
フランス 2040年 2017年7月、ユロ環境連帯移行相が、新たな気候変動対策計画 “Plan Climat”の中で、遅くとも2040年までにディーゼル及びガソリン自動車の販売を終了する目標を発表。
英国 2040年 2017 年 7 月、ゴーブ環境相が、新たな二酸化窒素に関する大気保全計画”Air quality plan for nitrogen dioxide (NO2) in UK (2017)”の中で、2040 年までにガソリンおよびディーゼル燃料駆動のすべての乗用車とバンの販売を終了する方針を発表。
ドイツ 2030年 2016年10月、ドイツ連邦参議院(Bundesrat)が2030年以降ガソリン及びディーゼルエンジン自動車の新規登録を禁止する案を可決しました。但し、メルケル首相は「連邦行政裁判所の判決に従ってディーゼル車の市街地乗り入れが禁止にならないよう、政府の権限を使って万全を期すつもりである」とディーゼル車保有者に対して配慮する姿勢を見せています。
オランダ 2030年 2017年10月、正式発足前のオランダの新政権が、政策方針書 「Vertrouwen in de toekomst(未来への確信)」を中で、「2030年以降すべての新規自動車をエミッションフリー」とする方針を発表。
デンマーク 2030年 デンマーク政府は2018年10月9日、‘Together for a Greener Future’と題する気候大気保全計画(デンマーク語:klima- og luftudspil)を発表。この中には、2030年以降はガソリン車とディーゼル車を、そして2035年以降はプラグインハイブリッド乗用車(PHEV)を禁止する方針が示されています。
ノルウェー 2025年 2016年2月、「国家交通計画(NTP:Nasjonal transportplan)2018-2029」の中で。「2025年以降、自家用乗用車及び小型商用自動車の新規登録を『ゼロエミッションカー』に限定する」という方針を発表。その後Vidar Helgesen環境大臣は、「2025年以降、化石燃料を動力源とする自動車の販売を禁止する合意は存在する。ただし、全面的な禁止というわけではない」と、微修正。
スコットランド 2032年 2017年9月、スタージョン自治政府首相が、「2017-2018年 スコットランド政府プログラム(The Scottish Government’s Programme for Government 2017-18)」の中で、ガソリン及びディーゼルエンジン搭載の乗用車とバンの新規登録を2032年までに廃止する方針を発表。
スロベニア 2030年 2017年10月に政府が可決した戦略書の中で、「新規登録の対象をCO2排出量が50g/km以下の自動車に限定する」方針が示されました。
イスラエル 2030年 イスラエルのエネルギー・水資源省(Ministry of National Infrastructure, Energy and Water Resources)のユバール・シュタイニッツ(Yuval Steinitz)大臣は2018年2月27日、テルアビブで開催されたエネルギー関連会議の場で、「2030年以降、イスラエルは、ガソリンおよびディーゼルを動力燃料とする自動車の輸入は認めないつもりである」と発言しました。
インドネシア 2040年 インドネシア現地紙が2017年8月25日に報じたところによると、同国政府は環境にやさしく、排気の少ない電気自動車への転換を促進する取り組みとして、化石燃料自動車およびバイクの販売を2040年に禁止する方針であるといいます。この禁止計画は、審議会出席者、特にホンダ、トヨタ、メルセデスなどの自動車メーカー、インドネシア自動車工業会(GAIKINDO)、さらには電気自動車開発者へエネルギー・鉱物資源省次官Teguh Pamudji氏から提出されました。
オーストリア 2030年 オーストリア連邦交通・イノベーション・技術省は2017年8月のディーゼル・サミットで、「2030年までには、全ての新規登録自動車を排ガスフリー(abgasfrei)とするための前提条件を満たすことができるでしょう。このために、あらゆる関係者との討議の場を持ち、排ガス戦略を迅速に提示するつもりです。その際の我々のアプローチは、禁止ではなく、インセンティブ及び適切な枠組み条件の設定です」と発言しています。
インド 2030年 2017年4月、インドの電力省・石炭省・新再生エネルギー省・鉱山省の大臣ピユーシュ・ゴヤル氏(当時)が「30年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する」と言及しました。
ブラジル 2060年 2018年10月16日、ブラジル上院の経済委員会にて、「ガソリンやディーゼルによる化石燃料エンジンの新車の販売を禁止する法案、2017年法案454号(PLS 454/2017)」が承認されました。当該法案では、2060年1月以降は全面的に当該車両の販売が禁止される内容となっています。バイオ燃料エンジンの自動車は適用除外。
アイスランド 2030年 アイスランド政府は2018年9月10日、エミッション削減への取り組み強化を目的とする新しい「気候戦略」(Climate Strategy)案を発表。気候変動緩和に向けた34の施策の中には、「2030年以降、新しいガソリン車あるいはディーゼル車の登録を禁止する」とする計画も含まれています。
スウェーデン 2030年 シュテファン・ロベーン首相(Stefan Löfven、社会民主労働党党首、2期目)は新政権が樹立した2019年1月21日、議会における閣僚名簿の発表に際し、新しい政策方針を発表。この中には、パリ協定の順守に向けた環境・気候政策分野での数々の施策が含まれており、その中には2030年以降、新しいディーゼル車とガソリンエンジン車の販売を禁止する方針も含まれています。
スペイン
(自治州バレアレス諸島)
2035年 バレアレス諸島(地中海西端に浮かぶ、マヨルカ、メノルカ、イビサ、 フォルメンテラ、カプレラの5島からなる群島。スペインの島嶼部自治州の一つ)自治政府議会は2019年2月12日、2050年までにバレアレス諸島全域で脱化石燃料を実現するための気候変動対策法案を可決。2025年1月1日以降、ディーゼル車の新規登録、2035年1月1日以降はガソリン車の新規登録が禁止となります。
スペイン 2040年 スペインのエコロジー移行省は2040年以降、国内でガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、天然ガス車を販売することを禁止する措置を「気候変動・エコロジー移行法(案)」の中に織り込むべく検討しています。
中国
(海南省)
2030年 2019年3月5日、海南省政府は「海南省クリーンエネルギー自動車発展計画」を対外的に公表し、その中では「2030年より、海南省でのガソリン車の販売を全面的に禁止」することに言及されています。これにより、海南省は中国でクリーンエネルギー自動車化目標を打ち出し、実施スケジュールを示した初めての省となりました。
アイルランド 2030年 アイルランドの運輸・ツーリズム・スポーツ省(DTTAS)は2017年5月31日、「運輸部門向け代替燃料インフラに関する国内政策枠組み 2017~2030年」(NPF)を発表。「2030年までに化石燃料を動力源とする自動車の使用を速やかに減退させ、国内で販売するすべての新規乗用車及び商用車をゼロエミッションカー(あるいは「ゼロエミッション走行可能な自動車(zero emissions capable)」)とする」という目標設定がなされています。
ベルギー
(ワロン地域)
2030年 ベルギー・ワロン地域で7月末に、改革運動(MR)と民主人道主義中道派(CDH)から成る連立政権が誕生。今後2年間のプログラムが公表され、「圧縮天然ガス、電気、水素等の代替燃料を活用する野心的な政策をワロン地域は推進し、ディーゼル車を奨励する補助金を廃止、2030年からディーゼル車の販売を禁止する」との方針にも言及しています。
ハンガリー 2025年 ハンガリー国民議会に、2020年までにディーゼル車の取引を停止し、内燃機関エンジン車の取引も2025年までに停止するよう求める法案が提出されています。法案を提出したのは、リベラル派で環境保護を重視する政党、LMP(新しい政治の形)の幹部を務めるBenedek R. Sallai議員。
フィンランド 2030年 現地メディアのThe HELSINKI Timesが2017年7月28日に報じたところによると、運輸通信大臣Anne Berner氏(当時)は、政府が2030年までにディーゼル車の販売を終了する措置を検討していることを明らかにしたといいます。但し、「政府は現在、販売の禁止を導入するのではなく、変更をもたらすために他の手段を使用することを計画している」、また、「絶対禁止は非常に堅実な措置であり、積極的な開発を促進するために他の措置を使用することが望ましいと思う」などと言及しています。
スリランカ 2040年 現地メディアThe Straits Timesが2017年11月10日に報じたところによると、スリランカ政府は2025年までにすべての政府所有車を電気またはハイブリッドモデルに置き換える計画を発表しました。そして、一般の人々が所有する自動車についても、2040年までに電気自動車等へ移行、すなわち、段階的に内燃機関自動車を廃止する計画を発表しています。
台湾 2040年 現地メディアXINHUANETやTaiwantrade.comは、2018年1月上旬に、台湾が2035年までに化石燃料駆動のバイクを段階的に廃止することを目指す内容を報じている。また、内燃機関自動車についても2040年に販売を禁止することを計画に盛り込んでいるとされています。
カナダ 2040年 カナダ政府は、2025年までに乗用車(LDV)の年間売上の10%、2030年までに30%、2040年までに100%をゼロ・エミッション車(ZEV)とする野心的な連邦目標を設定しています。
コスタリカ 2050年 2019年2月24日、コスタリカ政府はプレスリリースを公表し、「2018年-2050年国家脱炭素計画」の要約を発表し、その中でも、自動車については、2050年までに新車販売の100%をゼロ・エミッション車に、また、小型自動車フリート(民間および公共)の60%をゼロ・エミッション車とする目標を掲げています。
ベルギー(ブリュッセル首都圏地域) 2035年 ベルギーの連邦構成主体である3つの地域(以下の注を参照)の一つであるブリュッセル首都圏地域の議会は2019年10月下旬、気候保全計画の最終版を採択しました。同計画には、2030年以降はディーゼル車、そして2035年以降はさらにガソリン車を禁止する方針が含まれています。
シンガポール 2040年 シンガポール政府は2020年2月18日、同国の気候変動対策の一環として、「内燃機関(ICE:internal combustion engine)自動車を国内の道路から徐々になくし(phase out)、2040年までにすべての自動車がクリーンエネルギーで走行するようにする」方針を表明しました。