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2022年5月15日(No. 2022w19-03)
国・地域:国際
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国際:英市場分析会社、「2021年の先端電池へのVC投資額は前年比9.5倍」

2022年3月31日、英国民間市場データ分析会社GlobalDataは、世界の2021年の先端電池の開発や生産拡大に対するベンチャーキャピタル(VC)投資が大幅に伸びていることを示す報告書、『性能と持続可能性の融合 – 先進バッテリーはエネルギー移行を促進できるか』を発表した。報告書によると、投資件数の伸びは、2020年の約1.75倍。投資額は2020年から9.5倍の27億5,000万ドル(約3550億円)。単純計算すると、投資案件あたりの投資額が5倍以上に伸びている。特に、高エネルギー密度で性能が良く安全性に優れたコスト効率性が高いリチウムを活用した電池の商業化を主目的としたVC投資額が大幅に増加した。その投資額の約3分の1を中国企業SVOLTへの投資が占めている。

注:報告書を読むには購入が必要である。本記事は、GlobalDataのサイトとエネルギー、技術、持続可能政策を専門とするメディア、Green Car Congressの2020年4月27日の記事を参考にして作成した。

世界全体でエネルギーの脱炭素化が進むにつれて、持続可能性と性能に優れた主要なエネルギー貯蔵システムとして先端電池の注目度が高まりつつある。以前は電池単体や一次電池へのニーズが高かったものの、近年は世界全体でネットゼロ目標を達成するために二次電池または充電可能な電池への移行が進みつつある。これらの斬新なバッテリー・ケミストリー(電池の内部物質)と独特な設計により、様々な分野においてゼロ排出となる電化を達成することができる。

主要な投資の動き

2021年単年におけるVCによる電池開発・製造スタートアップへの主要な投資の動きは以下のとおりである。

  • 中国企業SVOLT:電気自動車や電力貯蔵を用途としたリチウムイオン電池を製造。2021年12月、Sichuan Energy Investment、Han’s Laser Technologyや他企業から合計9億3000万ドル(約1210億3400万円)の資金を調達。同資金は、高エネルギー密度で安全なリン酸鉄リチウムイオン電池の研究開発施設と製造工場の拡張に活用される。
  • 米企業SES(旧SolidEnergy Systems):リチウム金属電池メーカー。2021年4月、General MotorsのVC部門やShanghai Auto、Temasek、Applied Ventures、Vertexを含む投資家など主体として、シリーズDラウンドにて1億3900万ドル(180億9000万円)の資金を獲得。また同年7月には、特別買収目的会社(SPAC)であるIvanhoe Capitalとの合併を通じて株式公開企業となった。SESは、コスト効率性が良く高エネルギー密度のリチウム金属電池を製造しており、電気自動車や電動垂直離着陸機(eVTOL)の原動力として同電池への将来活用を目指している。
  • 米国企業Solid Power:全固体リチウムイオン電池を開発。2021年5月、BMWやFordのVC部門やVolta Energy Technologiesから合計1億3000万ドル(約169億1900万円)の資金を調達。同社は、多様な電動モビリティに適用可能となるコスト効率性が高く充電可能な全固体リチウムイオン電池を開発している。今回の資金を活用し、将来の車両への導入を目的とした高性能リチウムイオン電池の製造や自社の生産能力の引き上げを行った。

参考情報は、以下のURLで見ることができる。

 

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