2022年5月15日(No. 2022w19-02)
国・地域:欧州・ロシア, ドイツ
テーマ:, , ,

独コンチネンタル、再生PETボトル由来のポリエステル糸を採用したタイヤを発売

ドイツの自動車部品・タイヤメーカーであるコンチネンタル(Continental AG)は2022年4月5日、「ContiRe.Texテクノロジー」(以下、「ContiRe.Tex」という)を採用したタイヤの販売を開始したと発表した。ContiRe.Texは、同社が中国のOriental Industries(Suzhou)Ltd. (OTIZ)と協力して開発した、タイヤ製造向けの、ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルのリサイクル技術である。プレスリリースによると、まずは同社のサマータイヤ「PremiumContact 6」「EcoContact 6」とオールシーズンタイヤ「AllSeasonContact」の特定のサイズでこれを採用し、カーカス(carcass)部に使われていたバージンPETを完全に置き換える。現在、ContiRe.Tex採用タイヤはすべて、同社のポルトガル・ロウサド(Lousado)工場から出荷されており、製品の側面には“Contains Recycled Material“というロゴが表示されている。

ContiRe.Texは、使用済みPETボトルを、もっぱら機械的プロセスによって(これまで必須であった化学的な中間工程を一切経ずに)高性能PET素材として再生し(いわゆる「アップサイクル(upcycle)」)、これをポリエステル糸に加工するものである。実際の工程は以下の通りである。まずPETボトルを特殊プロセスによって分別し、手動でキャップを外す。その後、機械的洗浄を施し、破砕し、さらにこれをPETグラニュール(顆粒)に加工した上で、最終的にポリエステル紡績糸として加工する。なお、使用されるPETボトルは、リサイクルのためのクローズドループがない地域で回収されたものである。つまり、他のリサイクル用途を持たず、通常は焼却炉に投入されたり、埋立地で処分されたりするPETボトルだけが使用されている。ちなみに現在、標準的な乗用車向けのタイヤ1セットには、約40本の再生PETボトルが使用されている。

コンチネンタル社は、2050年までに持続可能な材料だけを使ったタイヤ製造を実現することを目標としており、このために、タイヤ製造用の代替材料に関する研究開発を集中的に進めている。例えば2018年12月には、タンポポ由来の代替天然ゴムの研究所「(タラクサガム・ラボ・アンクラム(Taraxagum Lab Anklam)」をドイツ国内に開設している。

関連動向
欧州委員会が2022年3月に発表した「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)案」(現行のエコデザイン指令(2009/125/EC)の改正法)では、あらゆる物理的な商品をカバーすべく適用範囲が拡大される予定となっており、欧州委員会がその暫定候補として挙げている対象製品グループの中には「タイヤ」も含まれている。

参照URL
コンチネンタル社プレスリリース(2022年4月5日発行):https://www.continental.com/en/press/press-releases/20220405-contire-tex/
https://www.continental-tires.com/car/stories/technology-and-innovation/contire-tex-eco-friendly-tires-from-pet-yarn

本記事に関する追加調査をご用命の際は、下記表の記事のNo.とタイトルを添えてお問い合わせください。
エンヴィックス有限会社(平日10~19時受付)
TEL: 03-5928-0180, Mail: contact@envix.co.jp