2022年5月29日(No. 2022w21-11)
国・地域:欧州・ロシア, ドイツ
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BMW、有機廃棄物ベースの塗料を採用、マスバランス方式で

ドイツのBMWグループは2022年5月12日、資源の節約と二酸化炭素(CO2)排出削減に向けて、バイオマスや有機性廃棄物から製造された持続可能な塗料を採用することを発表した。欧州内の生産拠点でマット塗装コーティング剤を、またドイツ国内のライプツィヒ工場と南アフリカのロスリン(Rosslyn)工場では腐食防止塗料を導入する。いずれの塗料もBASF Coating社の製品で、マスバランス方式に従って独立機関による認証を受けたものである。BMWによると、これらの塗料を使用することで、各塗装層につき約40%のCO2排出量を削減することが可能で、これによりBMWの生産工程で排出されるCO2の量を2030年までに1万5000トン以上削減することができるという。

BASFによると、同社は「バイオマス・バランス・アプローチ」(注:一般に「マスバランス方式(物質収支方式)」と呼ばれる手法)を、今回BMWによって新規に採用される塗料をはじめ、高吸収性樹脂、ディスパージョン(dispersion)などの多くのBASF製品で適用している。このアプローチでは、化学品生産の最初の段階で、つまり基礎化学品生産段階で、有機性廃棄物由来のバイオナフサやバイオメタンなどの再生可能原料が投入され、これがBASF生産ネットワークに供給される。そして、認証された方法に従って、投入された再生可能原料の比率を特定の最終製品に「計算上」割り当てる。BASFでは、こうした再生可能原料の投入から最終製品に至るまでの閉じた「CoC(chain of custody; 管理の連鎖)」を確立しており、バイオマス・バランス最終製品において、割り当てられた量の化石燃料由来原料が再生可能原料で正しく置き換えられていることは、独立した認証制度を通して担保されている。ちなみに同社では、2019年末までに、すべてのバイオマス・バランス製品の認証を、化学産業向け欧州新基準である「REDcert2」に切り替えている。

BASFは、「バイオマス・バランス製品の購入者は、従来製品の品質や性能を維持しながら、環境保全に積極的に貢献することができる」としている。実際、BMWによると、ライプツィヒ工場とロスリン工場で導入される持続可能な塗料は、これまで同社が使用していた塗料と化学的に同一であり、その特性は、従来の方法で製造されたボディーコーティングに完全に対応しているという。なお、両工場の年間車両生産台数は、合わせて約25万台である。

 

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