2019年12月28日、日本の国土交通省はプレスリリースを公表し、水素燃料電池二輪自動車等の国際基準を導入すると発表した。この内容は「装置型式指定規則の一部を改正する省令及び道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正する告示」により反映される。告示は2018年12月28日に公布され、翌29日に施行されている。
背景には、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第175会会合において、「水素燃料電池二輪自動車等に関する協定規則(第146号)」が新たに採択されたことや、日本が既に採用している「座席ベルト取付装置に係わる協定規則(第14号)」、「年少者用補助乗車装置に係わる新協定規則(第129号)」等の改訂が採択されたことが挙げられる。
以下、水素燃料電池二輪自動車に係わる基準について概説する。
保安基準等の主な改正により、圧縮水素ガスを燃料とする二輪自動車等は、協定規則第146号に規定された要件(高圧ガス燃料装置の強度、構造、取付方法等)に適合しなければならないこととなった。
国土交通省では主な改正項目として3点挙げている。
1.水素容器の損傷防止
水素容器表面への局所的甚大な損傷を防止すれば容器破裂は防止できると考えられるため、転倒時の耐擦過性及び外部からの衝撃緩和のための要件を規定。
2.水素容器の離脱防止
事故時に水素容器が車両から離脱することを防止するため、衝突事故を想定した加速度(①:±426m/s2、②:±617m/s2) を加えたときに水素容器が車両に固定されていることを規定。
3.容器安全弁差動時の水素排出方向
二輪自動車は火災遭遇時に車両が転倒している可能性があり、周囲の人が水素排出方向を判断できるよう、容器安全弁作動時の水素放出方向は車両正立状態における鉛直下向きに放出することを規定。
【参考資料】
国土交通省プレスリリース
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000296.html
国連の車両等の型式認定相互承認協定(1958年協定)の概要
http://www.mlit.go.jp/common/001267334.pdf
国連の車両等の型式認定相互承認協定における相互承認の対象項目
http://www.mlit.go.jp/common/001267333.pdf