ハンガリー革新・技術省(ITM)のPéter Kaderjákエネルギー問題・気候政策担当副大臣は2019年7月8日、同国政府は、国家バス戦略の一環として、住民数が2万5000人を超える集落が実施する電気バスなど環境に配慮したバスの購入に対し、今後10年間で359億ハンガリー・フォリント(HUF、1HUF=約0.36円換算で約131億円)の助成金を給付すると発表した。地方政府や地域の輸送会社が車両の交換に要する費用の最大20%を給付する計画で、投資総額は約1600億HUF(約583億円)にのぼる。今回のプログラム――国家バス戦略の一環である「グリーン・バス・プログラム」――で新たに導入されるバスの台数は、1290台程度とみられている。
Kaderják副大臣は、政府は7月1日の週にこのバス戦略を承認し、その枠内で公共バスの環境面における持続可能性を高めるための対策も併せて決定した、と説明した。同副大臣の発言の概要を以下に示す。
- 気候政策の観点からすれば、エネルギー需要と温室効果ガスの排出量が増え続けている輸送は最も重要な産業部門である。
- 住民数が2万5000人を超える集落の公共交通網で使用されているバスの総数はおよそ2900台だが、そのほとんどが旧型で老朽化している。今回の「グリーン・バス・プログラム」では、それらのバスが新しいバスに置き換えられる。
- 関心のある集落には、来年(2020年)、パイロット・プログラムの一環として、電気バスが提供される。それらの集落が電気バスの運転や交換オプションを試してみた経験にもとづき、古いバスの交換を開始する予定である。
- このプログラムは、2021年まではEuro 6基準を満たす車両や天然ガス車両の購入も支援するが、2022年1月1日からは電気バスの購入のみを支援する。
- 「グリーン・バス・プログラム」の資金は、CO2排出量取引で得た収益により確保される。
- 新たなバスの購入資金の大半は地方政府が提供しなければならないため、ITMは現在、財政支援策を模索している。
いっぽう、ITMのLászló György経済戦略担当副大臣は、「グリーン・バス・プログラム」はハンガリーの経済発展および気候政策と結びついていると指摘した。同副大臣によると、「グリーン・バス・プログラム」の目的は、環境面での要件を満たすだけでなく、投資額の少なくとも50%が国内で使われ、ハンガリー経済を押し上げるような新しいバスと交換することである。同副大臣は、「ハンガリーにはこのプログラムにふさわしいバスを製造できる企業がすでに存在している」と述べている。