北オランダ同盟(SNN;オランダ北部の3つの州と4つの大都市間のパートナーシップ)が2019年8月30日発表したところによると、欧州委員会の燃料電池・水素共同事業体(FCH JU)は、本格的なグリーン水素バリューチェーンを開発するため、北オランダを選定した(下記URLにSNNのプレスリリース)。
https://www.snn.nl/en/nieuws/eu-support-for-the-green-hydrogen-region-of-europe-northern-netherlands
2,000万ユーロ(約24億円)のEU補助金と7,000万ユーロ(約84億円)の官民共同出資金が提供される。プロジェクトの総額は約9,000万ユーロ(約108億円)となる。Energy Valley(New Energy Coalitionの一部)率いる「HEAVENNプロジェクト(H2 Energy Applications(in)Valley Environments(for)Northern Netherlandsの略)」コンソーシアムがプロジェクトを実施する。
HEAVENNプロジェクトは、水素バリューチェーンを1つの地域内でトータルに構築するという点でユニークである。同プロジェクトは、欧州6カ国の合計31件の官民プロジェクトからなる。コンソーシアムは、2020年初めまでに補助金協定に署名することを目指している。署名により、北オランダで6年間のプロジェクトが開始され、同地域は欧州有数の水素地域になる。
この補助金が支援するプロジェクトは次のとおりである。
(1) 産業の原料としてのグリーン水素の大規模生産
ホーヘフェーンとフローニンゲンで建物暖房用の水素を、またデルフセイルとエメンで工業用の水素を生産する。 (2) 水素の貯蔵 フェーンダムの、同国初となる電力ガス転換施設HyStock(0.1万kW)に、地下水素貯蔵施設を建設する。 (3) 水素の輸送と配送 水素輸送のため、既存の天然ガスパイプラインを改造する。デルフゼイル・ケミカルパーク内に、またGZI-Nextとエメンのエムテックインダストリービジネスパークの間に新しいパイプラインを敷設する。 (4) 工業、建築、交通部門での水素の利用 交通部門では、バス、小型・大型車両、自動車で水素を活用する。エメンとフローニンゲンに水素充填所を設置する。デルフゼイルで、すでに水素充填所が運営されている。また、ペッセとフローニンゲンにはかねてより、水素充填所の設置計画がある。さらに、内陸船舶で水素を利用するほか、航空用のケロシン系燃料を生産するのにも水素を活用する。大型車両は、とりわけ水素の利用に適している。交通部門の脱炭素化は、CO2削減に著しく貢献する。 |
(2019.11.04 mh)
<出典:北オランダ同盟>