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2023年5月14日(No. 2023-05052)
国・地域:国際
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国際:IEAの報告書、「2023年の世界のEV需要は2022年比35%増の見込み」

2023年4月26日、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)は、『電気自動車の世界展望(Global Electric Vehicle Outlook)』(以降、報告書)最新版を発行し、2022年1年間の電気自動車(EV)の販売台数は世界全体で1000万台を超え、2023年は2022年比35%増の1400万台に到達、前年に引き続き過去最高を更新すると予想した。自動車市場全体に占めるEVの割合は2020年の約4%から2022年には14%へ上昇、更に2023年は18%へ拡大すると見られている。また、今後も電動化が進むにつれて、2030年までに1日当たり500万バレルの石油需要量が削減される見込みである。そのためEVの普及が、ガソリン車が主流である自動車産業の大きな変革を牽引すると予想される。

概要
報告書では、以下のような項目が説明されている。
2023年を通じたEV販売台数の急増
2022年の1年間において世界全体で1000万台以上のEVが販売された。そのうち中国が60%を占めた。2023年は販売台数が前年比35%増の1400万台に達するなど、更にEV販売台数が過去最高を記録する見込み。またEV販売台数はこれまで欧州や中国などの主要市場に限定されていたが、2022年はインドやタイでも記録的な成長を見せた。

世界各国による積極的なEV支援策
中国や欧州、米国といった主要国における積極的な支援策による後押しが、世界全体のEV販売の増加に寄与した。2030年時点で世界のEV販売台数のうち中国が40%を占めるなど、世界最大のEV市場を維持する見込み。米国が現在のシェアを倍増し20%に、欧州が25%を占めると見込まれている。この三つの市場での自動車販売台数に占めるEVの割合は平均で60%になると予想されている。

EVへの投資増加や市場競争の激化に伴う低価格な車種の拡充
現在、乗用車のEV化が主流であるが、世界的な投資拡大に伴い、SUVや大型車といった他の車種への展開が進んでいる。またEV市場は中国のみならず他の新興国からの新規参入が増加するなど、市場競争が激化しつつある。一方、欧州は、全車種を対象としたEV車両の販売、販売価格の引き下げ、重要鉱物やバッテリーの生産分野の垂直統合などを目指している。

自動車以外の輸送手段の電動化
世界の輸送分野において電動化が最も進んでいるのは、自動車ではなく、二輪車、三輪車である。例えばインドでは2022年時点で新規三輪車の登録台数のうちの半数以上は電動三輪車である。多くの新興国では、低価格な電動二輪車・三輪車が輸送手段として利用されている。また商用車(業務用車両)の電動化も進んでいるほか、今後はトラックの電動化も進む見込みである。

EVサプライチェーンの強化やバッテリーへの投資支援
EVの普及に伴い、重要鉱物やバッテリーの需要も増大しつつある。リチウムイオン電池の製造は現在中国が大部分を占めるなど、特定地域へ集中している。そのため、リチウムイオン電池の代替となる新たな電池の開発や、多様化したサプライチェーンに対するレジリエンス(強靭性)の強化が進められつつある。

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