ドイツ連邦内閣が2023年6月21日、連邦交通省の提出していた「クリーン車両調達法を改正する第1次法律」案を閣議決定した。これにより、公共部門がトラックやバスを調達する際、化石資源由来の合成パラフィン系燃料を「クリーンで気候に優しい燃料」の区分から除外する。この新しい規制は、欧州統一規格DIN EN 15940(自動車用燃料:合成または水素化処理によるパラフィン系ディーゼル燃料)で定義された合成パラフィン系燃料を、純度100%の燃料としてドイツに導入する第10次連邦排出物防護令の同時改正と抱き合わせとなっている。
ドイツのクリーン車両調達法は、官公庁などの公共部門の車両調達を規制している。それによると、行政機関、公共交通機関、市町村営企業等が新たに購入する車両、あるいは特定の公共輸送サービスで使用する車両は、一定程度、気候に優しく、かつ有害物質の排出が少なく、または排出フリーのものでなければならない。
ドイツ政府、自動車用燃料としてHVO100の本格的導入を推進
ドイツ連立政権が2023年3月28日に下した閣議決定の目的は、HVO100など、純度100%のパラフィン系燃料の生産と利用を拡大できるようにすることにある。同時に、化石資源由来の純度100%のパラフィン系燃料への補助を取りやめる。HVO(水素化植物油)とは、オイルベースの、水素との触媒反応で生成されるバイオ燃料をいう。純度100%の場合、HVO100と呼ばれる。投入材料として、植物系の廃油や残留油を使用できる。その際、栽培用バイオマスを使うわけでないため、食用植物や飼料植物の栽培と競合することはない。HVO燃料を使用すれば、化石ディーゼル燃料と比べ、CO2が最大90%削減される。HVOはすでに市場で入手可能で、多くの国で許可されるにいたっている。
なお、間接的に土地利用形態を改変してしまうリスクの高い原料から生産するバイオ燃料は、現行のクリーン車両調達法の規制からすでに除外されている。パーム油から生産するバイオ燃料がその一例である。
V・ヴィッシング連邦交通大臣の談話
クリーン車両調達法改正案では、化石資源由来のパラフィン系ディーゼル燃料への補助をやめることにした。今後は、公共機関の発注者の調達目標として、HVO100など、気候に優しい燃料だけをカウントすべきである。逆に、天然ガスから生産されるディーゼル燃料はもうカウントしない。今後、気候に優しいHVO100を、ガソリンスタンドで販売できるようにする。このようにして当省は、既存車両のCO2排出量削減に重要な貢献を果たしていきたい。
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