2024年3月20日、米国環境保護庁(EPA)は、2027年から2032年式の乗用車、小型トラック、中型車、およびそれ以降の年式に対する複数の規準大気汚染物質排出基準を厳格化する最終規則の事前発行を行った。本最終規則は現行の2026年式モデルに対する基準をベースとしており、2026年式モデルに対する基準と比較して、本最終規則の2032年式に対する基準は、小型車の予測フリート平均GHG排出レベルをほぼ50%削減し、中型車では44%削減する。さらに、ガソリン車から排出される微小粒子状物質を95%以上削減する。その他複数の事項の改正を行っている。本最終規則が官報で公布されると、その60日後に本最終規則は発行する。
排出基準
排出基準に関しては本最終規則の以下のPartに詳細に記載されている。
III. Light- and Medium-Duty Vehicle Standards for Model Years 2027 and Later
C. GHG Standards for Model Years 2027 and Later
D. Criteria Pollutant Emissions Standards カリフォルニア州大気資源局のAdvanced Clean Car IIに倣っている。
その他の複数の改正事項
以下の新基準も設定している。
- 最終製品となっていない中型車からの給油放出量を管理するための新たな基準
- 小型および中型電気自動車とプラグインハイブリッド電気自動車に対するバッテリーの耐久性と保証要件
以下の項目に関するプログラム要件を更新する細かな改正も最終化している。
- アフターマーケットにおける燃料転換
- 車両およびエンジンの輸入
以下の項目に関する小規模な改正も最終化している。
- アフターマーケットでの燃料転換
- 車両およびエンジンの輸入
- 蒸発放出試験手順、および
- 燃費を測定するための試験燃料基準
最終規則の期待される効果
- 2055年までに72億トンのCO2排出が回避される見込み。これは2021年の運輸部門全体の排出量の約4倍に相当する。
- ガソリン車から排出される微小粒子状物質を95%以上削減し、2055年に最大2,500人の早死を防ぐだけでなく、心臓発作、呼吸器系および心臓血管系の病気、喘息の悪化、肺機能の低下を軽減する。
- 本最終規則が社会にもたらす純便益は、年間990億ドル(約14兆8,500億円、$1=\150で換算)と見積もられている。
- 平均的な米国人ドライバーは、自動車の耐用年数にわたって、燃料とメンテナンスの削減により推定6,000ドル(約90万円)を節約することになる。
- 本最終基準への対応による米国自動車製造業の雇用増加を予測している。
参考情報は以下のURL見ることができる。
- 2024年3月20日付の最終規則の事前発行、” Multi-Pollutant Emissions Standards for Model Years 2027 and Later Light-Duty and Medium-Duty Vehicles”
https://www.epa.gov/system/files/documents/2024-03/lmdv-veh-standrds-ghg-emission-frm-2024-03.pdf - 2024年3月20日、EPA発行のニュースリリース、”Biden-Harris Administration finalizes strongest-ever pollution standards for cars that position U.S. companies and workers to lead the clean vehicle future, protect public health, address the climate crisis, save drivers money”
https://www.epa.gov/newsreleases/biden-harris-administration-finalizes-strongest-ever-pollution-standards-cars-position
関連記事
- 米国EPA、小型・中型車および大型車の排出基準改正案を発表(2023年m月d日)