ドイツ連邦内閣は2024年11月4日、「ドイツ電池法をEU電池規則(EU)2023/1542に適合させるための法律(電池規則施行法)」案を閣議決定し、連邦参議院に送付した。EU電池規則とドイツ国内法との円滑な連携を確保するため、現行のドイツ電池法を新しい「電池規則施行法」に置き換える。2025年8月18日に施行する。EU電池規則の要求事項を国内実施するのが第一義的な目的である。それだけでなく、あらゆる使用済み機器用電池に加え、e-bikeやe-scooterの使用済み電池も、消費者が自治体のリサイクルセンターに返却できるようにする。さらに、これまでドイツでうまく機能してきた使用済み機器用の処理の仕組みを拡大する。
電池規則施行法の目的と主題
本法は、2024年2月18日からすべてのEU加盟国に直接適用されているEU電池規則から生じる新たな事務に対する責任と権限を定めるものである。新法の新たな規制の主題は、「使用済み電池の管理」、「電池の適合性」、「サプライチェーンにおけるデューデリジェンス義務(注意義務)」、「物質規制の改正手続き」に関するものである。本法は、EU電池規則の規定を重要な点で明確化するとともに補足するもので、特に廃棄物フェーズに関連して、分別収集と高度なリサイクルという目標を達成できるようにする。そのため、製品責任を負う生産者に対し、すべての電池について責任を負わせる。
既存の使用済み電池処理の仕組みの存続
使用済み機器用電池の処理など、従来の電池法に基づき十分に機能していた仕組みを新法でも継承するとともに、e-bikeやe-scooterなどの軽量移動手段の使用済み電池の回収にも転用する。ドイツでは現在、電気電子機器の使用済み電池の回収率は50%である。この回収率は、EU電池規則の要件を上回っている。それゆえ新法でも2026年末までドイツの高い回収率を維持し、EU電池規則の野心的な要件をシームレスに引き継ぐ。
リチウムイオン電池
すべての電池カテゴリーでリチウムイオン電池の使用が増えている。この電池が損傷した場合、容易に自己発火するおそれがある。この深刻な問題に対処するため、使用済み電池の生産者への返却を簡素化する。生産者はこの目的のため、独自の生産者責任組織を設立し運営することもできるし、既存の組織に加入することもできる。自動車用スターター電池のデポジット義務も、これまでの肯定的な経験を生かして維持していく。
公共廃棄物処理事業者の義務
公共廃棄物処理事業者の引き取り義務を拡大し、消費者が使用済み電池を返却しやすいようにする。自治体の引取所は、使用済み機器用電池だけでなく、e-bikeやe-scooterのような軽量移動手段の使用済み電池も引き取る義務を負う。EU電池規則や電池規則施行法に対する違反は罰則の対象となり、不正行為には制裁を科す。
関連URL
- ドイツ連邦環境省の「EU電池規則(EU)2023/1542を施行するための法律(電池規則施行法)」案の原案(ドイツ語、全110ページ):
https://www.bmuv.de/fileadmin/Daten_BMU/Download_PDF/Glaeserne_Gesetze/20._Lp/batt_eu_anpg/Entwurf/batt_eu_anpg_refe_bf.pdf
- ドイツ連邦環境省のプレスリリース(2024年11月6日付):
https://www.bmuv.de/pressemitteilung/bundeskabinett-beschliesst-neue-regeln-fuer-bessere-sammlung-von-batterien
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