市場調査会社360iResearchが2024年3月に発表した報告書によると、電気自動車に使われる高圧ケーブルの世界市場は、2023年は約180億米ドルであったが、2024年には約215億米ドル、2030年には675億米ドルに達する見込みとなっている。報告書によれば、高圧ケーブル市場の成長は、電気自動車の普及や、高性能で耐久性、安全性も高いケーブルの技術の開発、各国の脱炭素のための規制や電気自動車の使用の奨励などが要因となっており、高圧ケーブルの市場シェアや各ケーブルメーカーの動向などが分析されている。
報告書ではその他、以下を含む情報や分析が記載されている。
ケーブルの種類:
交流のケーブルは充電速度が遅く、家庭や職場での充電に向いており、直流のケーブルは高速のため、長距離運転の高速道路の充電ステーションで使われる。
ケーブルの素材:
交流のケーブルの場合は、電導性がよく軽量で安価なアルミが使われる。アルミは従来から使われている銅よりも電導性は若干劣るが、自動車の軽量化の為に直流ケーブルでも注目されている。絶縁素材では、架橋ポリエチレン(XLPE)やポリプロピレン(PP)が、絶縁性や柔軟性、高温での安定性、電気的ストレスに対する耐久性により、交流にも直流にも適している。またシリコンは、耐熱性や柔軟性に優れており、直流ケーブルには利点がある。
電圧:
800V以上のケーブルは、耐久性や耐熱性、高速充電を必要とする高級車や商用車を含む高性能の電気自動車にとって重要である。800V以下のケーブルは小型乗用車や商用車、二輪・三輪車に向いているが、どの電圧の場合も、安全性や信頼性、コストパフォーマンスが求められる。
地域別市場:
米州、特に米国とカナダでは、電気自動車の販売増加により、高圧ケーブルの市場が大きく伸びている。また高速充電ステーションへの傾倒により、高品質、高電圧のケーブルが求められるようになっている。欧州では、厳しい排ガス規制や消費者の環境保護意識の高まりにより、高圧ケーブルの電気自動車が堅実に伸びている。中東やアフリカは、カーボンフットプリント削減や電気モビリティ拡張が徐々に進んでいる段階で、中国、韓国、日本が率いるアジアでは、政府の援助も受けて高圧ケーブルの技術開発が大きく進んでいる。
本内容に関する記事は、以下のURLで閲覧できる(英語表記)。
https://www.360iresearch.com/library/intelligence/ev-high-voltage-cable