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2024年7月7日(No. 2024w27-04)
国・地域:国際
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乗用車エネルギー消費ラベルの各国比較、環境影響の透明化ではドイツが優位に

乗用車エネルギー消費ラベルは、消費者に対して乗用車の燃費やCO2排出量に関する情報を提供することを目的としているが、国によって異なる制度が導入されている。フランスのメディアがドイツ、米国、フランスにおけるラベル表示を比較したところ、ドイツが環境影響の透明化という点で優れていることが明らかになった。

ドイツ

2024年2月に法改正が行われ、電気自動車(EV)であるか否かにかかわらず、自動車メーカーに対し、環境への影響についてより明確に説明することが義務づけられた。燃料消費量、汚染物質排出量、総コストに関する詳細が示され、消費者は可能な限り効率の良い車種を選択できるようになっている。ドイツ政府の公式サイト「Alternativ Mobil」のウェブサイトにおいて、各モデルの情報を得ることができる。

ドイツの乗用車エネルギー消費ラベル/フォルクスワーゲン「ID.4」の例

出所:Alternativ Mobilホームページ

法改正により、燃料消費量、CO2排出量、航続距離の数値は、世界統一試験方法WLTP(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)モードに移行し、自動車の重量から切り離されることになった。ドイツでは以前、NEDC(新欧州ドライビングサイクル)モードの数値が使用されており、それに重量ベースの基準が適用されていた。また、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の場合、バッテリーを放電した後の燃費とCO2排出量を公表することがメーカーに義務づけられた。年間走行距離を1万5000kmとした燃料費に特化した情報の提供も義務化された。ガソリン、ガス、水素あるいは電気などのエネルギーコスト、さらに燃料価格に含まれるCO2税の金額も、今後10年間の3つのシナリオ(低・中・高)を前提に基づいて記載されている。

CO2排出ゼロ、エネルギーコストの削減、CO2税の免除など、新しいラベル制度はEVに有利に設定されている。2023年末にEV購入補助金が突然廃止され、苦境に立たされているドイツのEV市場に弾みをつけるかもしれない。

米国

米国においては、米国環境保護局(EPA)と米国運輸省(DOT)が自動車燃費ラベルを発行している。ドイツのラベルに類似しているが、推定年間燃料費が示されている。WLTP燃料消費率、温室効果ガスの排出量を1から10の間にランク付けた情報が示されている。

米国における電気自動車の自動車燃費ラベルの例

出所:EPAホームページ

 

フランス

フランスにおいては、フランス・エコロジー転換庁(ADEME)がエネルギー/CO2ラベルを発行している。車両識別(メーカー、モデル、バージョン、燃料)、WLTP燃料消費量、CO2排出量のランク付け(AからGまでのランク付けで色分けされている)などで構成されている。燃料が少なければ少ないほど、CO2の排出量が少なくなり、気候変動への影響も少なくなる。

フランスのエネルギー/CO2ラベルの例

出所:ADEMEホームページ

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