EVは、価格が高い、充電施設が不十分、航続距離が短い等、さまざまな困難に直面してその市場開発が遅れているが、ここへ来て変化の兆しが表れている。EVの販売価格の30~40%を占めるリチウムイオン電池の価格が低下しており、2020年あたりにかけてEV市場が飛躍する可能性が出てきている。
Bloomberg New Energy Financeの指数データによると、リチウムイオン電池の価格は2014年前期にkWh当たり540ドル(約5万7300円)になり、2年前の同期と比べて20%低下、1000ドル(約10万6000円)前後であった2010年と比べるとほぼ半額になった。Bloomberg New Energy FinanceのアナリストStephanie Adamは、「我々の予測よりも早く価格が暴落している」と語る。
韓国証券投資会社Woori I&Sの最近の分析においても、「リチウムイオン電池の価格は2015年にkWh当たり300ドル(約3万1900円)程度にまで下落し、2020年には150ドル前後になる」と予測されている。2011年にマッキンゼーが実施した調査においても「2015年の価格はkWh当たり383ドル(約4万700円)、2020年の価格は197ドル(約2万900円)」と予測されていた。
J.P. Morganによると、2015年にリチウム電池市場は82億ドル(約8720億円)規模に達し、2013年の約2倍となり、2020年には200億ドル(約2兆1300億円)規模に至るという。
現在、リチウムイオン電池市場においては、アジアの巨大メーカーの間で熾烈な競争が展開されており、今のところPanasonicが先陣を切っている。PanasonicはTeslaとの提携を通じて市場占有率を高め、Bloomberg New Energy Financeによると、GWhでの比較で43%を占めている。
売上高での比較では、Shinhan Investmentのデータによると、LG化学とAutomotive Energy Supply(AESC/日産自動車とNECの合弁会社)がそれぞれ30%弱、Panasonicが14%を確保している。
リチウムイオン電池市場での競争はまだ続くと見られるが、Woori I&Sの分析では、「EV業界では世界標準電池を提供するようなメーカーがまだ存在しない。Nissan等日本の自動車メーカーは統合サプライチェーンのシステム下でビジネスを進めることを好んでいるが、今後はMercedes-BenzやVolkswagen等欧州の主要メーカーに供給する電池メーカーが世界標準を定めることになる」と推測されている。