2022年8月16日、バイデン米大統領は、気候変動や医療費負担軽減対策に4,300億ドル(約59兆円、1ドル=137円で換算、以下同様)規模の予算を投じる『インフレ抑制法案(The Inflation Reduction Act)(H.R.5376)』に署名し、同法案は正式に成立した。税額控除が2032年まで延長され、低・中所得者が電気自動車(EV)などの”Clean Vehicle”を購入する際に、1台当たり最大7,500ドル(約102万円、$1=\136)の“Clean Vehicle Credit”(税額控除)を受けられる。また、適用対象を自動車メーカーごとに20万台という販売台数の上限を撤廃する。また税額控除の対象を、北米地域で最終的に組み立てられた新車であること、並びにバッテリー用の部品および原材料を米国内もしくはFTA加盟国から調達することを義務付けている。2024年1月1日より使用される車両から、その条件とされる「価値の割合」を徐々に引き上げ、部品に関しては2028年12月31日以降100%に、バッテリー用重要鉱物に関しては2026年12月31日以降80%以上にしなければならない。
Clean Vehicle Creditの適用条件、バッテリーの部品と原材料
Clean Vehicle Creditの対象となる条件として、EV用バッテリーの部品や原材料である重要鉱物の調達先を、米国または米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国から調達することも義務付けている。概要は以下の通り。詳細は法案のPart 4参照。
米国または米国とのFTA締結国で抽出・加工された、あるいは北米でリサイクルされた「バッテリー用重要鉱物」の要求される「価値の割合」を、車両に使用される時期により以下のように定めている。
車両への使用時期 | 価値の割合 |
2024年1月1日より前 | 40% |
2024年中 | 50% |
2025年中 | 60% |
2026年中 | 70% |
2026年12月31日以降 | 80% |
「バッテリー用重要鉱物」に関して、法案のページ448の(6) APPLICABLE CRITICAL MINERALSに、アルミニウム等50種の規定の物質と濃度などの細かい条件が規定されている。
本法案では、バッテリーの部品の「価値の割合」にも同様の要件を設けているが、2028年12月31日以降に使用される車両では、100%に達するまで引き上げられる。
本記事の情報ソースは、以下のURLで見ることができる。
- 法案H. R. 5376
https://s3.documentcloud.org/documents/22128080/inflation-reduction-act-of-2022.pdf - 2022年8月19日付、ホワイトハウスの声明、” FACT SHEET: The Inflation Reduction Act Supports Workers and Families”
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/08/19/fact-sheet-the-inflation-reduction-act-supports-workers-and-families/