2023年6月11日(No. 2023-06039)
国・地域:欧州・ロシア, スイス
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スイスエネルギー庁、2050年充電インフラの見通しを発表――電気移動の全体像示す

スイス連邦エネルギー庁が2023年5月10日、『2050年充電インフラに関する理解』報告書を発行した。それによると、すでに2035年にはスイスの全乗用車の半数以上がプラグイン車(電気自動車とプラグインハイブリッド車)になる可能性がある。これは、今から約12年以内に、充電インフラの全国整備をほぼ完了していなければならないことを意味する。したがってスイスでは、さまざまな充電オプションを組み合わせて推進する必要があるという。

エネルギー庁の調査では、2035年にスイスの道路を走るプラグイン車は280万台に達すると推定される。そして2050年までに、乗用車の主流はバッテリー電気駆動方式になる見込みである。しかしこれまで、電気自動車の充電インフラ網を今後どのように効率的に設計すべきかについて、しっかりした理解が不足していた。そこで同庁は今回、関連51団体(自動車、不動産、エネルギーの各産業、行政)の見解を取り入れた電気移動の全体像を提示することにした。これら利害団体関係者の結論は次のとおりである。

利害関係者の結論

  1. 電気自動車は可能な限り、自宅の既存の駐車スペースにある専用充電ステーションで充電できるようにするのがよい。家庭での充電は、電気自動車所有者のニーズに応えるだろう。こうして、2035年までに最大200万カ所の民間充電ポイントが設置される。
  2. いっぽう建物屋内の専用充電インフラの開発は、必ずしもうまくいくとは限らない。インセンティブに加えて、計画の確実性、投資の安全性も必要になってくる。
  3. 自宅や職場に充電設備のない自動車所有者(調査では、2035年にはそのようなプラグイン車が40万~100万台にのぼる、と予想されている)は、居住地にできるだけ近い、誰でもアクセスできる充電ネットワークを必要としている。
  4. 2035年時点で、誰でも利用可能な充電ポイントが最大8万4,000カ所必要になる。ニーズは地域によって異なる。現在、誰でも利用できる充電ステーションは、スイスに約1万カ所ある。
  5. 充電に際して料金面でインセンティブを付けたり、フレキシブル充電を商品化するなどして、充電プロセスをコントロール可能な状態にする必要がある。
  6. 乗用車の電動化が予想を上回るスピードで進んでいるため、電力需要の伸びは想定を上回っている。2035年の乗用車による充電需要は73億kWhと予想される。これに対し、エネルギー庁が2021年12月に発行した『2050年以降のエネルギー見通し』では、2035~2050年までの乗用車の充電需要を年間41億kWhと推計していた。

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