ドイツ連邦環境省は2023年8月3日、同省の「燃料・可燃物の品質の特性と表示に関する政令(第10次連邦排出物防護令)」改正案をめぐって実施していた州政府と諸団体から意見聴取の結果を公開した。EUは2023年10月12日、EU代替燃料インフラ規則(EU)2023/1804」(AFIR)を施行した。従来の代替燃料インフラ指令2014/94/EUを規則に格上げし代替するもので、道路走行車両や船舶、飛行機のための代替燃料インフラ(充電や水素補給設備など)の設置目標を定めている。またEUは現在、EU燃料品質指令2009/30/EC(FQD)を改正する作業を進めている。ドイツの第10次連邦排出物防護令改正案は、合成パラフィン系燃料を純度100%の燃料として上市できるようにするなど、これら2つのEU規制を国内実施しようとするものである。
以上2つのEU規制の法的要件を今後ドイツで実施するためには、ドイツ連邦排出物防護法の下位政令の改正が必要になる。このためドイツ政府は、「燃料・可燃物の品質の特性と表示に関する政令(第10次連邦排出物防護令)」を改正することにした。改正のあらましは次のとおりである。
- AFIRの要求事項を具体的に定める。
- 旧EU代替燃料インフラ指令の国内実施のために定めた現行の重複規定を削除する。
- 最大10%のバイオディーゼル(脂肪酸メチルエステル;FAME)を添加可能なB10ディーゼルを導入する。
- 欧州統一規格DIN EN 15940(自動車用燃料:合成または水素化処理によるパラフィン系ディーゼル燃料)を第10次連邦排出物防護令に収載することで、合成パラフィン系燃料を、純度100%の燃料としてドイツで上市できるようにする。
- 2023年6月21日に閣議決定した「クリーン車両調達法を改正する第1次法律」案を通じて、公共部門がトラックやバスを調達する際、化石資源由来の合成パラフィン系燃料を「クリーンで気候に優しい燃料」の区分から除外する。すなわち、化石パラフィン系ディーゼル燃料の使用を促進している現在の施策を終了する。
- 第10次連邦排出物防護令改正令とクリーン車両調達法を改正する第1次法律を、3党連立協定に従って同時施行する。
- 第10次連邦排出物防護令で参照する規格類をアップデートする。
関連URL
- ドイツ連邦環境省のプレスリリース:
https://www.bmuv.de/gesetz/referentenentwurf-einer-verordnung-ueber-die-beschaffenheit-und-die-auszeichnung-der-qualitaeten-von-kraft-und-brennstoffen - 燃料・可燃物の品質の特性と表示に関する政令(第10次連邦排出物防止令)改正案:
https://www.bmuv.de/fileadmin/Daten_BMU/Download_PDF/Glaeserne_Gesetze/20._Lp/10_bimschv/Entwurf/10_bimschv_refe_bf.pdf
関連記事
- ドイツ政府、クリーン車両の公共調達で化石資源由来の合成パラフィン系燃料を除外(2023年8月14日)