インドネシア海事・投資調整省とオーストラリア産業科学資源省は2023年11月23日、電気自動車産業を推進するための協力メカニズムを構築する覚書を締結した。両国は、電気自動車用電池製造、重要鉱物の加工、電気自動車エコシステム等に関し、互恵協力を推進する。今後両国は、それぞれの電気自動車サプライチェーンを関連付け、共同で研究開発を行い、新たな企業間の連携を推進する。両国は、電気自動車用電池に使用される2つの主要な鉱物であるニッケルとリチウム資源に恵まれている。
覚書締結の背景
2023年7月、インドネシア大統領がオーストラリアを訪問し両国首脳会談を行った。会談で両首脳は、気候変動に関する両国の連携や脱炭素化に向けた世界的な電気自動車化の状況での両国のビジネス機会について議論し、両国政府高官に対しこの重要な問題に関して協力と連携を進めるよう指示した。
両国の鉱物資源
インドネシアは世界最大のニッケル生産国で全世界の約40%のニッケルを生産しているが、ほとんどが工業用合金に使用されるクラス2であり、HPAL(高圧硫酸浸出)技術によりリチウムイオン電池向けの高品位のクラス1のニッケル・コバルト混合水酸化物(Mixed Hydroxide Precipitate)を生産する事が可能になった。現在3ヵ所の工場でリチウムイオン電池正極前駆体の生産を行っていて、今後数年間にいくつかのリチウムイオン電池製造プロジェクトも開始される予定である。
オーストラリアには世界のリチウムの24%が埋蔵されていて、2022年には世界のリチウム採掘量の43%を占めた。オーストラリアは、ニッケル産業を発展させたインドネシアと協力することにより、この豊富なリチウム資源の恩恵を受けることができる。
インドネシアとオーストラリアの電気自動車産業協力に関する覚書について、下記のURLより閲覧できる。
インドネシア海事・投資調整省ホームページ主要ニュース(インドネシア語)
https://maritim.go.id/detail/indonesia-dan-australia-jalin-kerja-sama-majukan-industri-kendaraan-listrik
オーストラリア産業科学資源省ホームページメディアリリース
https://www.minister.industry.gov.au/ministers/husic/media-releases/indonesia-and-australia-cooperation-electric-vehicles
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