スイスのA・レスティ連邦環境大臣が2024年9月3日、2018年から順調に進んでいるスイス連邦電気移動ロードマップを2030年まで延長し中身を拡充する方針を明らかにした。〈電気移動ロードマップ2025〉の第13回プラットフォームイベントが同日、ベルンで開催された。同大臣はその場で、従来の乗用車に加え、トラック、小型商用車、公共交通機関のバスも、新たにロードマップに統合する意向を明らかにした。これにより、車両と充電インフラの相乗効果を活用して、ロードマップの効果を高めることができるという。2030年版のロードマップは今後数カ月内に策定される予定である。
スイス環境省によると、電化こそが、交通部門から排出される温室効果ガスを削減するための鍵である。スイスの気候目標を達成するには、道路による貨物輸送や公共交通機関も貢献しなければならない。それゆえ、ロードマップの次の段階では、公共交通機関のバス、トラック、小型商用車もロードマップの目標に組み込む必要がある。レスティ環境大臣は、運輸部門の代表者に対して、電気移動ロードマップに参加し、従来の利害関係者と協力するよう働きかけた。
スイスポストなど企業や団体の反応
スイスポストの最高経営責任者(CEO)で、プラットフォームイベントの主催者であるR・チリロ氏は、「当社はすでに電化の流れの中で生きている」と訴えた。このスイス国営郵政グループは、手紙の配達から小包の物流、宅配トラックにいたるまで、電化に大きく依存している。他の企業や団体の代表者らも、電気移動ロードマップの延長と拡充を歓迎した。これにより、相乗効果が利用可能になり、さまざまな利害関係者間の提携が容易になるという。スイスが直面する課題は、車両テクノロジーや市場の製品から、充電インフラへとますます移行している。また、日常生活で効率的で信頼性の高い運行を確保するには、貨物輸送や公共交通機関でも特殊な充電計画が必要になっている。
スイスの現行の電気移動ロードマップのあらまし
連邦政府は2018年、連邦エネルギー庁と道路庁が分掌する電気移動ロードマップを開始し、その4年後に2025年まで延長した。2025年電気移動ロードマップには、産業界、公共部門、学術界、諸団体、NGO出身の71人の利害関係者が協力して策定した。その際、スイス連邦環境省の主導で、スイスにおける電気移動を促進するため、2025年末までに達成されるべき、次の3つの目標に関係者は署名した。これら3つの目標を達成するため、利害関係者は、それぞれの活動分野で自主的な取り組みを進めることを約束した。
- 2025年12月末までに、新車登録台数に占めるプラグイン車の割合を50%にする。
- 2025年12月末までに、一般に利用できる充電ステーションを2万箇所整備する。
- 「家でも、職場でも、移動中でも、ユーザーフレンドリーで、送電網にも有益な充電」という目標を実現する。
関連URL
スイス連邦環境省のプレスリリース(2024年9月3日付)
https://www.bafu.admin.ch/bafu/de/home/dokumentation/medienmitteilungen/anzeige-nsb-unter-medienmitteilungen.msg-id-102305.html
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