ボストンコンサルティンググループ(BCG)は、米国自動車市場におけるEV需要に関する調査報告を、2024年3月20日に公開した。
BSGは、当該調査において、3,000人の消費者にアンケートを実施した。主な結果は以下のとおりである。
- EV所有者6%に加え、38%が次の車としてEVを購入することを検討している。さらに、27%は将来的にEVの購入を検討している。
- EVを検討している消費者が実際に購入するための(平均の)要件として、20分の充電時間、充電ステーションの30分以内のアクセスと待ち時間、350マイルの走行距離、5万ドルの価格などが挙げられる。また、多様なラインナップが求められている。
- 自動車メーカーが消費者の求める要件を満たしつつ、収益性を確保するためには、充電システムの開発と公的支援の両方のサポートが必要である。
- すべて順調に進めば、次世代EVが数年以内に本格生産され、EVの販売台数は自動車市場における30%を占める可能性がある。現実的には、EVのシェアは20%に近くなることが予想される。
- どのような場合でも、ハイブリッド車のシェアは15~20%になることが予想される。
また、当該報告においてBCGは、自動車メーカーは、5万ドルのEVを1台販売するごとに、約6,000ドルを損失していると推定している。原因として、以下が考えられる。
- 自動車業界として、米国のEV需要は2023年に70%増加すると予想していた。
- 一方で、実際にはEVの販売台数は50%増加に留まった。
- メーカーは在庫を抱えることになり、販売価格を引き下げた。
- 多くのメーカーの価格競争により、販売価格が下落した。
- 結果として、現在の価格による販売は、コストギャップが生じている。
BSGは、高密度のバッテリー、高効率のモーター、優れたバッテリー管理ソフトなどの技術により、自動車メーカーのコストギャップを削減できると指摘している。一方で、今後中国産EVの販売が拡大されていく場合、市場価格はさらに下落し、収益性の問題が深刻化する可能性がある。よって、EV生産においては、さらなる効率化を目指すことに加え、追加の公的支援が必要であるとした。加えて、消費者がEVの代わりに選択する可能性のある、ハイブリッド車の開発・投資も重要であるとした。
関連URL
- BCG調査報告(2024年3月20日公開)
https://www.bcg.com/publications/2024/can-oems-catch-the-next-wave-of-ev-adopters