タイ地元メディアのバンコクポスト紙は2024年5月7日、タイの起業家はタイのEV市場は欧州市場と異なり今後も急速に成長し続けると予想している事を報じた。ブルームバーグによると、欧州市場では政府補助金の終了や充電インフラの不足および保険費用と修理費用が高額等の理由により、2024年3月のEV販売は前年比11%減となっている。タイのEV充電会社社長は、「タイ市場では一部のEVは比較的安価で、更に補助金により価格が下がる可能性がある。また、タイ政府のEV普及策である「EV3.5」によりEVの価格がより手ごろになり、潜在的な購入者が増える筈である。」と述べた。
タイのEV普及政策
2021年にタイ政府は、2030年までに全生産自動車の30%を電気自動車にする事を目標とした電動化のロードマップである30/30 EV planを掲げ、搭載される電池容量に応じた補助金を支給、物品税や輸入関税の減税を行っている。2024年には2024年~2027年の間にEV産業の継続的な成長やEV生産への投資を促進するため、国家電気自動車政策委員会が策定したEV3.5を閣議決定した。EV3.5では補助金額は引き下げられたが、EVのタイ国内での生産を普及させるため、EVを輸入販売するメーカーにタイ国内でのEV生産を義務付けている。
タイ工業連盟副会長は、「タイ国内工場での大量生産により、EVの価格が1台100万バーツ(約2.7万米ドル)以下に下がる。またEV関連企業もタイ政府の投資支援を受けていて、充電インフラの数が増加する。タイ政府は国内でEVを普及させるだけでは無く、輸出するための生産拠点の開発を考えている。」と述べた。
中国EV企業のタイ進出
タイ政府のEVメーカーに対する優遇政策もあり、タイにはBYDや上海汽車、長安汽車等が相次いでタイ進出を発表している。
上海汽車は2023年にタイEV工場の建設を開始し、2023年11月にMGブランドのEVの出荷を開始した。BYDも2023年からEV工場の建設を開始し、2024年第3四半期に年間生産能力1万5千台の規模で生産を開始する計画である。長安汽車は、2025年第1四半期からタイ工場で電動SUVの生産を開始する。
タイEV市場の見通しについて、下記のURLより閲覧できる。
バンコクポスト紙2024年5月7日付記事
https://www.bangkokpost.com/business/motoring/2788184/local-ev-industry-sees-bright-prospects
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