米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズは2024年7月31日、中国の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)と戦略的提携を結び、EV10万台をウーバーの配車サービスに導入する計画を明らかにした。今回の戦略的提携では、まず欧州と中南米の契約ドライバーにBYD製EVの優待価格での販売、充電費用やメンテナンス費用の割引、優遇的な自動車ローンや自動車保険の案内などの支援策を提供する。対象地域はその後、中東、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどに順次拡大されていく計画だ。両社はまた、将来的にBYDの自律走行車をウーバーの配車サービスで展開していく方向で協力するとしている。
ウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は、「この種の協定としては世界最大で、この提携がドライバー、ライダー、都市にもたらすベネフィットは大きいと考える」と語った。他方、BYDの王伝福会長は、「ウーバーとBYDは、よりクリーンで環境に優しい世界の実現に向けて革新に取り組むというコミットメントを共有しており、そのような未来に向けて協力できることをうれしく思う」と述べた。
ウーバーの最近の動向
今回のBYDとの提携は2021年末にレンタル会社のハーツが10万台のテスラを発注するような巨大な購入ではない。他方、欧州においては、ウーバーはルノー・日産、ステランティス、ヒュンダイと、米国においては、ハーツとテスラ社に関する協定を、規模はかなり小さいながらも結んでいる。2030年以降、ウーバーは欧州と北米において、サービスの対象をEVに限定する計画である。2023年末時点で、全世界のドライバーと配達員の合計700万人のうち、ゼロ・エミッション車のドライバーは12万6000人であった。
BYDの最近の動向
中国EV市場のリーダーであるBYDは、国際的な事業展開、特に欧州での事業展開を強化しており、2030年までに欧州市場でテスラを追い抜くことを目標としている。バッテリーメーカーとしてスタートしたBYD(「Build Your Dreams」)は、2023年第4四半期にテスラを追い抜き、EVの販売台数で世界首位となった。欧州市場を制覇するうえで、BYDはすでにバスを製造しているハンガリーで2025年に欧州初のEV工場を稼働させる計画だ。ハンガリーは中国の産業にとって重要な拠点となるが、トルコ産業技術省が2024年7月初めに発表した情報によると、BYDはトルコに欧州第2工場を建設し、年間15万台を追加生産する予定だ。トルコに工場を建設することで、BYDは欧州委員会の反補助金調査によって課された追加関税を回避することができる。
【参考】BYDとの提携に関するウーバー・テクノロジーズの投資家情報ニュース(2024年7月31日付)は、以下のURLで参照できる。
https://investor.uber.com/news-events/news/press-release-details/2024/Uber-and-BYD-Partner-to-Accelerate-Global-EV-Transition/default.aspx