2024年12月29日(No. 2024w52-01)
国・地域:アジア・オセアニア, 中国
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中国固体電池メーカーの太藍新能源(Talent New Energy)が全固体リチウム金属電池を展示

中国で半固体電池や全固体電池の研究開発を行う太藍新能源(Talent New Energy)は2024年11月28日、北京で開催された第2回中国国際サプライチェーン促進博覧会で自社開発した全固体リチウム金属電池を展示した。この電池はエネルギー密度が720Wh/kg、電池容量が120Ahのセパレータレス全固体リチウム金属電池で、大規模量産化の検証に成功している。太藍新能源のホームページによると、固体電解質層の厚さは1μm未満で1.5 mS/cm2の高いイオン電導率、巻取り可能な柔軟性を持ち、コストも10%以上下げる事が出来る。

太藍新能源(Talent New Energy)について
 2018年に設立された太藍新能源は、翌2019年に固体電池研究開発センターを建設した。同社は2021年に初の半固体電池を開発し、顧客のテストが完了した。2022年に重慶市に建設した年間生産能力0.2GWhの生産ラインを用い、半固体電池の出荷を行った。2023年には安徽省淮南市の工業団地に年間生産能力10GWhの生産ラインを建設し、重慶市の生産ラインの生産能力を2GWhに増強する工事を行った。
2024年に同社は、世界初の電池容量120Ah、エネルギー密度が720Wh/kgの全固体リチウム金属電池の開発に成功した。

太藍新能源の全固体リチウム金属電池について
太藍新能源が開発した全固体リチウム金属電池の外観写真


中国国際サプライチェーン促進博覧会展示


中国中央電視台画面キャプチャー

太藍新能源が開発した全固体リチウム金属電池は、中国国際サプライチェーン促進博覧会で展示された後、2024年12月に中国中央電視台(CCTV)の財形チャンネルの「新品質生産力発展会議・重慶」で紹介された。
現在液系のリチウムイオン電池で使用されているセパレータの耐熱温度は約130℃であるが、全固体リチウム金属電池で使用されている固体電解質層の耐熱温度は500℃を超え、耐押出性と過充電性についてもGB38031-2020の「電気自動車用二次電池安全要求」の要求事項を300%以上満たしている。
太藍新能源は正極、負極、セパレータ、電解液の四つの構成要素を持つ現在のリチウムイオン電池から、セパレータを除いた三つの構成要素を持つ半固体電池を開発した。今回、更にセパレータを除きリチウム金属を使用する全固体リチウム金属電池を開発したが、最終的には負極も取り除いた全固体無負極電池の開発を目指している。
なお、米国のQuantumScapeは固体セラミック電解質セパレータを用いた全固体無負極電池(Anode-free Solid-State Battery)を開発している。

太藍新能源(Talent New Energy)の全固体リチウム金属電池について、下記のURLより閲覧できる。

太藍新能源ホームページnews(中国語簡体字)
太藍新能源が第2回中国国際サプライチェーン促進博覧会に出展
https://mp.weixin.qq.com/s/J-UgTrpkO15DQUzjb_6Rew
太藍新能源会長がCCTVのインタビュー番組に出演
https://mp.weixin.qq.com/s/tVQfwpt-6n04UBOE2fU2QQ?token=1968716806&lang=zh_CN

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