日産Leafの使用済電池を電力貯蔵設備として再利用したデータセンターがフランス北部にオープンした。世界的にデータセンターにおける電力消費量が増加していることから、省エネタイプの環境に優しいデータセンターの開発の需要が高まっている。
上記の日産Leafの使用済電池を電力供給源としたデータセンターはフランス北部セーヌマリティム県でオープンした。このデータセンターは同県の中小企業「Webaxys」社によって開発された。
データセンターは主にコンピューターや通信機器の大量のデータを貯蔵・確保するための設備で、とりわけサーバーを冷却するための電力(フランス電機製造業者団体Gimlécの調査によると、データセンターの電気代の40%を占める)が恒常的に供給される必要がある。
従来の電力網に依存しない太陽光等の再生可能エネルギー発電設備がデータセンターに設置されるケースが増えているが、再生可能エネルギーには間欠性の問題がしばしば生じることがある。Webaxys社のデータセンターでは世界で最も普及している日産Leaf(2015年の販売台数4万5000台)の使用済電池を活用した電力貯蔵システムが採用され、この間欠性の問題に対処している。
電気自動車の電池が24kWhあるいは30kWhの電池容量を維持できなくなった場合には、電池の交換が必要となる。使用済電池の残留容量は17kWh程度であるが、インバーターに電力を供給するための十分な容量で、再生可能エネルギーからの電力、あるいは電気料金が安いときに従来の電力網からの電力をこれらの使用済電池に貯蔵することでコストを抑えることができる。
Webaxys社のデータセンターにおいては、使用済電池をリサイクルせずに約10年間程度再利用することが可能で、米国の電力管理企業であるEaton社のインバーターとIT設備が採用されている。
Webaxys社のデータセンターは、省エネかつ環境に優しいデータセンターの開発を目指した欧州のプロジェクト「GreenDataNet」の枠組みで開発された。なお、世界の電力消費量のうちデータセンターが占める割合は1.5~2%となっている。