2022年5月22日(No. 2022w20-07)
国・地域:欧州・ロシア, ドイツ
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メルセデス・ベンツESG会議「2030年までに車両1台あたりのライフサイクルCO2排出量を20年比で半減」

メルセデス・ベンツ・グループ(Mercedes Benz Group)は2022年4月11日、投資家やアナリストを対象とする第一回ESG(環境・社会・ガバナンス)会議を開催し、「CO2排出量の削減」と「すべてのステークホルダー向けの持続的な価値創出」を目指すための包括的な施策を発表した。同社はこの会議で、「2030年までに乗用車1台あたりのライフサイクルCO2排出量を2020年比で少なくとも半減する」という目標を掲げ、これを達成するための最も重要な施策として、5つの領域における様々な取り組みを示した(下表参照)。このほかに、2030年までに生産過程のエネルギー需要全体の70%を再生可能エネルギーで賄うとしている。

  領域 主な目標設定や取り組み
1 車両の電動化
  • 2025年までにメルセデス・ベンツのポートフォリオ全体に占める、バッテリー電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の割合を最大50%にする。
  • 市場環境が許す限り、2030年までにポートフォリオ全体の電動化を実現する。
2 グリーン電力によるEV充電
  • 欧州全域に約30万か所設置されているMercedes me Chargeネットワーク内のすべての公共充電ポイントで、再生可能エネルギーによる電力での充電を可能にする。
3 電池技術の向上
  • 高度に先進的かつ競争力のある電池技術の開発と産業化に向けて、複数の戦略的パートナーシップを締結しており、セルレベルで800 Wh/Lの高シリコンアノードは、2025年以降、エネルギー密度向上の大きなポテンシャルを秘めている。
  • LFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)の量産採用にも期待を寄せている。同電池は正極にコバルトをまったく使用しない。
  • 研究パートナーと共に、全固体電池の研究にも取り組んでいる。
  • 電池のライフサイクルを自社で管理するために、ドイツ南部のクッペンハイム(Kuppenheim)にCO2ニュートラルの電池リサイクルプラントを設立し、2023年に稼働開始する。新規の湿式冶金技術を用いてリサイクル率を96%以上に高める見通し。
4 グリーンなスチールとアルミニウム
  • 低/ゼロ排出のスチールの使用を大幅に拡大するため、グリーンスチールサプライチェーンの構築を進めているおり、その一環で2021年には、自動車メーカーとして初めて、スウェーデンのスタートアップであるH2 Green Steelに資本参加した。早ければ2025年以降、様々なモデルでグリーンスチールを採用する。
  • アルミニウムの二次利用率を継続的に高めている。
  • 今後、欧州内のプレス・鋳造工場用に調達する一次アルミニウムは、アルミニウム・スチュワードシップ・イニシアチブ(ASI)の認証を受けたもののみとする。中期的には、このルールを欧州以外の地域にも拡げていく。
5 持続可能な材料を量産で採用
  • 一部のモデルでは既に持続可能な材料(例:再生PETボトル製シートカバー、魚網やカーペット由来の床材など)が標準採用されている。
  • 2030年までに車両1台当たりのリサイクル材含有率を40%まで高める。

(出所:Mercedes Benz Groupの資料をもとにEnviX作成)

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