2022年6月12日(No. 2022w23-03)
国・地域:中国
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中国BYD、EV用電池と自動車ボディを一体化するCell to Body技術を採用した新型車の予約販売を開始

中国BYDは2022年5月20日、世界で初めてEV用電池と自動車ボディを一体化するCell to Body(CTB)技術を採用したセダンタイプの新型電気自動車の予約販売を開始した。従来の電気自動車では、複数のEV用電池単体をモジュールにまとめ、更に複数のモジュールをまとめたパックとして電気自動車に搭載している。BYDのCTB技術は、刀身の様に薄く細長い形状のリン酸鉄系リチウムイオン電池(ブレードバッテリー)を上下のバッテリーカバーで挟み、直接電気自動車ボディと一体化する。ケースが必要なモジュールが不要なので、限られたスペースにより多くのEV用電池を搭載出来る。

BYDは中国トップの電気自動車メーカーであり、中国第二位のEV用電池メーカー。
BYDが採用したCTB技術には、以下の長所がある。

  • リン酸鉄系のリチウムイオン電池であるブレードバッテリーは、内部ショートのシミュレーションである釘を貫通させる試験を行っても発煙発火せず、電池温度が30~60℃上昇するのみである。
  • ブレードバッテリーを隙間無く配置し上下のカバーで挟んだハニカムサンドイッチ構造により、強度が強くなり50トンの大型トラックに轢かれても耐えられる。
  • EV用電池と自動車ボディを一体化する事により、自動車のボディ剛性が倍増する

【エンヴィックスのコメント】

EV用のリチウムイオン電池には、三元系(Ni、Mn、Co)材料を使用する電池とリン酸鉄を使用する電池がある。三元系リチウムイオン電池は、動作電圧が高く(3.6V)電池単体のエネルギー密度は200~250Wh/kg程度である。一方、リン酸鉄系リチウムイオン電池は、動作電圧が低く(3.2V)電池単体のエネルギー密度140~170Wh/kg程度である。
中国工業情報化部が発表する「車両購入税免除の新エネルギー自動車車種リスト」には、車両毎の電池システムのエネルギー密度が記載されている。三元系を使用した車両の電池システムのエネルギー密度が150~180Wh/kg程度であるのに対し、CTB技術を使用した車両のエネルギー密度は、140.50~147.90Wh/kgである。
BYD(比亚迪)社新型車は、車両購入税免除の新エネルギー自動車車種リスト(2022年第3版)新発売モデル27~28頁に掲載。
中国BYD のCTB技術を採用した新型車について、下記のURLより閲覧できる。

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