2022年6月に欧州議会とEU理事会が相次いで、「2035年に新車のCO2排出量を2021年基準比で100%削減する」という欧州委員会の提案を支持する立場を発表したことを受け、2035年以降は内燃機関を搭載した新車が禁止されることがほぼ確実視される中、6月30日、欧州連合(EU)の地域委員会(CoR)のイニシアチブの下で、「自動車産業地域同盟(ARA:Automotive Regions Alliance)」が正式に発足した。欧州6か国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、スロバキア)の20地域が結集する。いずれの地域も取り残さないことを目標に掲げ、EUに「欧州の自動車(部品)産業地域にとっての公正、公平かつ効果的な移行を支援する欧州のメカニズム」と「専用の追加予算枠」を早急に確立することを求めるために、国境を越えて連帯する構えを見せた。
ARA発足に立ち会った欧州委員会のニコラス・シュミット雇用・社会的権利担当委員はこの日、「ゼロエミッション車へ移行は欧州産業にチャンスを提供すると同時に、明確な課題も突き付けている」との認識を示した上で、「再訓練や転職に際しての強力なサポート」と「適切な資金提供」の必要性を強調した。
一部の報道によると、ARAは「公正な移行基金(JTF:Just Transition Fund)」と同様の支援メカニズムを望んでいる。JTFは、欧州グリーンディールの一環で設立されたもので、気候中立への移行で最も影響を受ける地域(主として石炭地域)を支援し、地域間の不平等を回避するために、2027年までに200億ユーロ(約2兆8429億円)の資金を直接調達することになっている。
ARA参加地域リスト(2022年6月30日現在)
国名 | 地域名 |
ドイツ | ニーダーザクセン州、バーデン=ヴュルテンベルク州、ザクセン州、ノルトライン=ヴェストファーレン州 |
スペイン | バレンシア州、ナバラ州、ガリシア州、カタルーニャ州、カスティーリャ・イ・レオン州 |
フランス | ブルターニュ、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ、グラン-エスト |
イタリア | アブルッツォ州、ロンバルディア州、ヴェネト州、ピエモンテ州、ウンブリア州 |
オーストリア | シュタイアーマルク州 |
スロバキア | トルナヴァ県、ブラチスラヴァ県 |
(出所:欧州地域委員会(CoR))
参照URL
EU地域委員会(CoR)ウェブサイト
https://cor.europa.eu/en/engage/Pages/Automotive-Regions-Alliance.aspx?origin=spotlight