欧州運輸環境NGOのT&Eは2023年2月16日、社用車・バン(新車)すべてを2030年までにゼロ排出車とする拘束力ある目標を含む新規則を遅くとも2023年10月までに提案するよう欧州委員会に求める共同書簡を世界的な30の企業・団体が2月15日に送付したと報じた。スウェーデン家具大手イケア、英小売り大手テスコ、米配車大手ウーバー、米飲料大手コカ・コーラなど30社は、欧州委員会が2023年作業計画の下で第3四半期に提案予定としている「グリーン・コーポレート・フリート・イニシアティブ」の下で、そうした規則を提案するよう求めている。
共同書簡によれば、運輸分野はEU最大の温室効果ガス排出源であり、欧州で販売される自動車の10台に6台は社用車、かつ、社用車の走行距離は自家用車の2倍と影響が大きい。また社用車の電化を加速することで、道路運輸からの排出削減に取り組めるだけでなく、EUのロシア産石油依存からの脱却や、手頃価格のEV中古車市場の創出といった面にも恩恵があるという。
その上で共同書簡は欧州委員会に対し、2023年第3四半期に提案予定としている「グリーン・コーポレート・フリート・イニシアティブ」の下で、遅くとも2023年10月までに次の内容を含む新規則を提案するよう求めている。
- 2030年までに新車の社用車・バンすべてをゼロ排出車にするとの拘束力のある購入目標を設定する。
- 対象を大型商用車に拡大し、一定サイズのフリートに対して拘束力のある購入目標を設定する。
そのほか共同書簡は、EUの立法機関に対し、審議中の代替燃料インフラ規則(AFIR)案と建物エネルギー性能指令改正案において、公共・民間充電インフラの野心的目標に速やかに合意するよう求めている。さらに、加盟国に対し、独自の充電インフラ計画を加速させ、職場や駐車場での充電に特化したインセンティブ制度を設計するよう求めている。
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