2023年2月19日(No. 2023w07-05)
国・地域:欧州・ロシア, ドイツ
テーマ:, , , ,

自動車大手など独企業10社が合弁会社Cofinity-Xを設立、Catena-Xのデータエコシステムを実装

欧州では今、Catena-X(以下で詳述)というアライアンスが、自動車バリューチェーン全体で安全なデータ交換・共有を可能にするために、業界初のオープンかつ協調的なデータエコシステムを構築しようとしている。この取り組みの一環で2023年2月2日、Catena-X参画企業10社(BASF、BMW、ヘンケル、メルセデス・ベンツ、SAP、シェフラー、シーメンス、T-Systems、フォルクスワーゲン、ZF)が、ドイツ・ケルンに合弁会社「Cofinity-X GmbH」を設立した(出資比率は均等)。

Catena-Xとは

Catena-Xは、ドイツ企業7社によるイニシアチブとして2020年にスタートし、同年12月のドイツ連邦政府デジタルサミットの場で初めて公表された。2024年7月までの期間は、ドイツ連邦経済・気候保護省の「自動車産業への未来投資」資金プログラムによる助成を受けており、官民連携によるアライアンスと言ってよいだろう。2023年1月1日時点で、133の企業・組織が参加している。現在、さらなる参加企業を募っており、その主なアピールポイントは以下の通りである。

  • 欧州のクラウドデータ基盤である「GAIA-X」およびIDSA(International Data Spaces Association)が推進する国際的なデータスペースIDSに準拠したシステム・アーキテクチャを採用し、データ主権、セキュリティ、相互運用性を確保。
  • Catena-Xデータエコシステム内のデータ交換は標準化され、必要なインターフェースは一つだけ。
  • 企業の規模に左右されない平等なパートナーシップを重視。

Cofinity-Xの役割

今回設立されたCofinity-Xは、Catena-Xが開発した標準に準拠して、実際の製品やサービスを提供し、データエコシステムを運営する会社である。Cofinity-Xのアレキサンダー・シュライヒャー取締役は設立に際してのコメントの中で、「バリューチェーン全体であらゆる材料のトレーサビリティに対する要求が高まっていることが、弊社設立に至った主な要因の一つです。Cofinity-Xは、自動車バリューチェーンに関わるすべての企業が平等に参加することができる、拡張性の高いエコシステムの重要な一翼を担います。弊社の製品提供によりエンドツーエンドのデータネットワークが構築され、すべての参加企業に価値創造をもたらします」と述べている。

同社ウェブサイトの「製品とサービス」のページには、Cofinity-Xがこれから提供する予定の以下の6つのアプリケーションが提示されている。

  • オンボーディング(すべてのサービスを利用可能)
  • 取引先データ管理
  • トレーサビリティ
  • カーボンフットプリント
  • サーキュラーエコノミー
  • 品質

なお、共同出資各社によって発行されたプレスリリースによると、Cofinity-Xは必要な規制当局の承認はすべて取得済みであり、2023年4月末頃から最初の製品・サービスを提供することになっている。

参照URL

 

本記事に関する追加調査をご用命の際は、下記表の記事のNo.とタイトルを添えてお問い合わせください。
エンヴィックス有限会社(平日10~19時受付)
TEL: 03-5928-0180, Mail: contact@envix.co.jp