欧州では今、Catena-X(以下で詳述)というアライアンスが、自動車バリューチェーン全体で安全なデータ交換・共有を可能にするために、業界初のオープンかつ協調的なデータエコシステムを構築しようとしている。この取り組みの一環で2023年2月2日、Catena-X参画企業10社(BASF、BMW、ヘンケル、メルセデス・ベンツ、SAP、シェフラー、シーメンス、T-Systems、フォルクスワーゲン、ZF)が、ドイツ・ケルンに合弁会社「Cofinity-X GmbH」を設立した(出資比率は均等)。
Catena-Xとは
Catena-Xは、ドイツ企業7社によるイニシアチブとして2020年にスタートし、同年12月のドイツ連邦政府デジタルサミットの場で初めて公表された。2024年7月までの期間は、ドイツ連邦経済・気候保護省の「自動車産業への未来投資」資金プログラムによる助成を受けており、官民連携によるアライアンスと言ってよいだろう。2023年1月1日時点で、133の企業・組織が参加している。現在、さらなる参加企業を募っており、その主なアピールポイントは以下の通りである。
- 欧州のクラウドデータ基盤である「GAIA-X」およびIDSA(International Data Spaces Association)が推進する国際的なデータスペースIDSに準拠したシステム・アーキテクチャを採用し、データ主権、セキュリティ、相互運用性を確保。
- Catena-Xデータエコシステム内のデータ交換は標準化され、必要なインターフェースは一つだけ。
- 企業の規模に左右されない平等なパートナーシップを重視。
Cofinity-Xの役割
今回設立されたCofinity-Xは、Catena-Xが開発した標準に準拠して、実際の製品やサービスを提供し、データエコシステムを運営する会社である。Cofinity-Xのアレキサンダー・シュライヒャー取締役は設立に際してのコメントの中で、「バリューチェーン全体であらゆる材料のトレーサビリティに対する要求が高まっていることが、弊社設立に至った主な要因の一つです。Cofinity-Xは、自動車バリューチェーンに関わるすべての企業が平等に参加することができる、拡張性の高いエコシステムの重要な一翼を担います。弊社の製品提供によりエンドツーエンドのデータネットワークが構築され、すべての参加企業に価値創造をもたらします」と述べている。
同社ウェブサイトの「製品とサービス」のページには、Cofinity-Xがこれから提供する予定の以下の6つのアプリケーションが提示されている。
- オンボーディング(すべてのサービスを利用可能)
- 取引先データ管理
- トレーサビリティ
- カーボンフットプリント
- サーキュラーエコノミー
- 品質
なお、共同出資各社によって発行されたプレスリリースによると、Cofinity-Xは必要な規制当局の承認はすべて取得済みであり、2023年4月末頃から最初の製品・サービスを提供することになっている。
参照URL
- Catena-Xウェブサイト
https://catena-x.net/en/ - Cofinity-Xウェブサイト
https://www.cofinity-x.com/