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2023年3月19日(No. 2023w11-03)
国・地域:米州, 米国
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米国フォードがミシガン州にリン酸鉄リチウムイオン電池工場を建設――中国CATLが技術支援

2023年2月13日、米国大手自動車メーカーのフォードがミシガン州マーシャルに35億米ドルを投資し、リン酸鉄(LFP)リチウムイオン電池工場を建設する事を発表した。フォードは既に韓国大手電池メーカーであるSK Onと提携し、ケンタッキー州とテネシー州に三元系(NCM)のリチウムイオン電池工場を建設している。フォードは、NCMとLFPの両タイプのリチウムイオン電池を製造する米国で最初のメーカーとなる。同社は、中国の電気自動車用電池メーカー最大手のCATLと新たにLFPリチウムイオン電池の技術とサービスの提供を受ける契約を結んだ。

フォードの米国電池工場
フォード・モーターは、全世界で約17万3千人を雇用する大手自動車メーカーで100年以上の歴史を持つ。同社は、トラック、SUV、商用バンおよび乗用車、リンカーンブランドの高級車を提供し、コネクテッドサービスを開発している。同社は2022年7月、韓国SK Onと電気自動車用電池を製造する合弁会社のBlueOval SKを設立した。BlueOval SKは、テネシー州に56億米ドルを投資し年間生産能力43GWhのNCMリチウムイオン電池工場を建設し、ケンタッキー州にも58億米ドルを投資し年間生産能力86GWhのNCMリチウムイオン電池工場を建設している。
この2拠点に加えフォードは中国CATLから技術の提供を受け、ミシガン州に35億米ドルを投資し年間生産能力35GWhのLFPリチウムイオン電池工場を建設する。

NCMリチウムイオン電池とLFPリチウムイオン電池の特徴
出所:フォード2023年2月13日付プレスリリース
NCMリチウムイオン電池は、正極材料にNi、Co、Mnの化合物を使用する。それぞれの比率によりNCM***と呼ばれ、高価なCo比率を減らしNi比率を増やしたNCM811等が正極材料として使われている。
NCMリチウムイオン電池は、LFPリチウムイオン電池よりエネルギー密度が高く、低温での特性が良い。それに対し、LFPリチウムイオン電池は、ライフサイクルが長く急速充電特性に優れ、入手し易いFeを使用するので材料コストが安いという特徴がある。
近年、電池材料コストの高騰やCATLの「麒麟電池」等CTP(Cell to Pack)技術を採用した電池システムとしてのエネルギー密度の向上により、LFPリチウムイオン電池の採用が増加している。中国CABIA(China Automotive Battery Innovation Alliance)の2022年の中国国内電気自動車用電池搭載量統計によると、LFPリチウムイオン電池の搭載量は62.4%(2021年比+10.7%)で、NCMリチウムイオン電池は37.5%(2021年比-10.6%)であった。

フォードは商用車、乗用車、高級ブランド車等の様々な用途や、トラック、商用バン等様々なカテゴリーの自動車を生産している。フォードは米国内で製造するLFPリチウムイオン電池を、開発中の普及価格帯のEV乗用車およびEVトラックに搭載する計画である。

フォードのリン酸鉄リチウムイオン電池工場建設について、下記のURLより閲覧できる。
FordホームページNews
https://media.ford.com/content/fordmedia/fna/us/en/news/2023/02/13/ford-taps-michigan-for-new-lfp-battery-plant–new-battery-chemis.html

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