2023年4月21日、韓国のリチウムイオン電池正極材料メーカーのEcoProが欧州ハンガリー東部のデブレツェンでハンガリー工場の起工式を開催した。同工場は2024年に完成し2025年より電気自動車（EV）用リチウムイオン電池の正極材の生産を開始する予定である。EcoProは約3,827億ウォン（約2億7千万米ドル）を投資し、総面積約44万m2の規模で電機自動車135万台分に相当する年間10万8千トンの正極材料を生産する。
EcoProについて
1998年設立のEcoProは、2003年にリチウムイオン電池正極材料の事業を開始した。2008年からハイニッケル正極材の供給を始め、2016年にリチウムイオン電池材料事業を行うEcoPro BMを設立した。2021年の正極材料の世界シェアは、ベルギーのUmicore、中国企業二社に続く第四位で韓国企業ではトップである。
今回、成長著しい欧州EV市場へ参入するためにEcoProとして初めての海外工場をハンガリーに建設する。
ハンガリーの電池産業の状況
2010年代後半からの日本、中国、韓国の電池関連企業の投資により、ハンガリーでは電池産業が成長している。ドイツのフリードリヒ・エーベルト財団が2023年2月に発表した” THE BATTERY BOOM IN HUNGARY“によると、ハンガリーでは2021年秋までに電池製造1万4千人の雇用が創出され、ハンガリー政府は2020年代半ばまでに電池関連の雇用者数が倍増すると予想している。
ハンガリーはEU市場へのアクセスに加え生産コストが比較的低いため、日中韓の電池メーカーとヨーロッパの自動車OEMの間の架け橋として位置付けられている。ハンガリー政府はEV用電池のバリューチェーンの発展を支援するために、すでに2,000億HUF（約5.9億米ドル）を超える補助金を電池関連メーカーに支給している。
ハンガリーの電池Value Chain企業データ（2022年12月現在）抜粋
| ハンガリー社名 | 製品 | 本社 | ハンガリー政府の補助金
billion HUF（米ドル） |
| ECOPRO GLOBAL HUNGARY Zrt. | 正極材 | 韓国 | 未定 |
| W-Scope Hungary Plant Kft. | セパレータ | 日本 | 未定 |
| GS Yuasa Magyarország Kft. | 電池 | 日本 | 0.8（約230万米ドル） |
| SAMSUNG SDI Magyarország Zrt. | 電池 | 韓国 | 35.5（約1億米ドル） |
| SK Battery Manufacturing Kft. | 電池 | 韓国 | 36.8（約1.1億米ドル） |
| SK On Hungary Kft. | 電池 | 韓国 | 76.7（約2.3億米ドル） |
| CATL Hungary Kft. | 電池 | 中国 | 補助金無 |
| BMW Manufacturing Hungary Kft. | 電気自動車 | ドイツ | 12.3（約3600万米ドル） |
出所：フリードリヒ・エーベルト財団“THE BATTERY BOOM IN HUNGARY”
EcoProのハンガリー正極材工場建設について、下記のURLより閲覧できる。
EcoProホームページNews&Notice（韓国語）
https://www.ecopro.co.kr/sub0401/view/id/1228
フリードリヒ・エーベルト財団ホームページPublications
https://library.fes.de/pdf-files/bueros/budapest/20101.pdf
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