欧米自動車大手ステランティスは2023年9月8日、イタリア・トリノにあるミラフィオーリ複合施設にバッテリー・テクノロジー・センターを開設した。開所式の場で、ステランティスのエンジニアリングおよびテクノロジー責任者であるネッド・キュリック氏は、現在の電気自動車(EV)用の車載電池は「とにかく重すぎる」ため、持続可能性を目指す自動車には「適合しない」と述べ、2030年までに電池の重量を少なくとも50%軽量化するとの目標を発表した。
総工費4000万ユーロ(約63億円)、総面積8000平方メートルのこの新しい施設の中心は、バッテリーパック試験用の24のウォークインタイプの大型恒温室とセル試験用の8つの恒温槽の合計32の試験室を持つ。大型恒温室では湿度と温度をコントロールでき、温度範囲は摂氏-40度から60度、毎分20度で温度変化させることが可能である。同センターでは、最大47個のバッテリーパックを並行してテストすることもできる。約100人の専門家が雇用される。
米国カリフォルニア州シリコンバレーを本拠とする新興電池メーカー、ライテン社は軽量なリチウム硫黄電池の開発を進めているが、ステランティスは2023年5月に同社に資本投資している。リチウム硫黄電池を通じて、電池の軽量化以外にも希土類の使用量削減にもつながると考えられている。ステランティスはまた、中国・寧徳時代新能源科技(CATL)等が開発したナトリウム・イオン電池の将来性、とくに価格競争面での可能性にも注目している。さらに、ステランティスはフランス国立科学研究センター(CNRS)、仏産業用電池メーカーのサフト、仏エネルギー大手のトタルエナジーズと提携してインバーターと充電器の機能をモジュールに統合した電池の開発を進めている。ステランティスは、6つのギガファクトリーを含むグローバルなバッテリー開発・製造ネットワークの一部として、カナダ・オンタリオ州ウィンザーに北米向けバッテリー・テクノロジー・センターを建設している。
【参考】ステランティスのバッテリー・テクノロジー・センター開所式に関するプレスリリース(2023年9月8日)は以下のURLで参照できる。
https://www.stellantis.com/en/news/press-releases/2023/september/stellantis-celebrates-opening-of-its-first-battery-technology-center-in-italy