2024年1月21日(No. 2024w03-07)
国・地域:欧州・ロシア, 欧州連合(EU), ドイツ, 米州, 米国
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VWの電池会社PowerCo、米QuantumScape社の全固体電池セルのロバスト性を認定

フォルクスワーゲングループ(Volkswagen Group、本社:ドイツ・ヴォルフスブルグ、以下「VW」)は2024年1月3日、EV用全固体電池の開発を手掛けるクアンタムスケープ社(QuantumScape、本社:米国カルフォルニア州サンノゼ)の24層の全固体電池セルの試験結果を発表した。同試験は、VW傘下の電池会社PowerCo(本社:ドイツ・ザルツギッター)が自社バッテリー研究所において数カ月にわたって実施したもので、同セルは、サンプルテストの要件を大幅に上回る1000回以上の充電サイクルを完了した。これは、WLTPモードの航続距離が500~600kmのEVでは50万km以上の走行性能に相当する。さらに同セルは、試験完了時にまだ95%の容量を保持していた。

VWによると、新規に開発された電池セルを対象とする標準化された試験手順では、「ロバスト性(堅牢性)」が最も重要な基準と見なされている。現在の標準的な業界目標は、「充電サイクル700回」および「容量損失20%以内」であるが、クアンタムスケープ社のセルは上記の通り、余裕を持ってこれらの条件をクリアした。また同セルは、急速充電能力、安全性、自己放電といった他の試験基準においても、所定の要件を満たしたとのことである。VWは、量産に向けた次なるステップは、製造プロセスの完成とその規模の拡大であるとしている。

なお、クアンタムスケープ社はすでに2023年10月、同社の株主向け2023年第3四半期報告書の中で、以下の通り報告していた。

当社は2022年第4四半期、24層のアノードレス全固体リチウム金属電池セルの概念実証(PoC)提供を目的として、最初のA0プロトタイプセルを複数の潜在顧客向けに出荷した。当社の商業的目標は、これまで通り、充電サイクル800回でエネルギー保持率80%であるが、ある潜在顧客の電池試験ラボにおける試験(試験条件:C/3充電、C/2放電、温度・圧力はQuantumScapeの標準条件、放電深度100%)では、当社の最高性能A0プロトタイプセルが、フルサイクル換算で1000回以上、保持率95%以上を達成した。

VWが、ここで言及されている「潜在顧客」の一つであった可能性は非常に高い。ちなみに、VWは2012年以来クアンタムスケープ社に出資しており、同社の筆頭株主の一つである。

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