ロシアの自動車メーカーであるAvtotorが2023年12月19日、同国初の電気自動車(EV)「Amber」を発表したが、SNS上で「世界で最もブサイクな車」と評されるなど、注目を浴びている。
「Amber」はAvtotorがモスクワ工科大学と共同で設計したプロトタイプEVで、その特異なデザインですぐに目を引いた。滑り台を連想させる閉じたラジエーターグリルと小さな丸いヘッドライトを備えたデザインは、通常の美的基準から根本的に逸脱している。ネットユーザーたちは、「Amberは史上最も醜い車として歴史に残るだろう」などと嘲笑しながら、その異形な外観で有名なフィアット「ムルティプラ」と比較した。
ロシア初の国産EV「Avtotor Amber」(プロトタイプ)
出所:フランス自動車情報専門サイトArgus.fr
こうした批判にもかかわらず、Avtotorは「Amber」に大きな野心を抱いている。2025年から年間5万台の生産を計画しており、ロシアで現代自動車(韓国)、BMW(ドイツ)、起亜自動車(韓国)の車両を生産しているカリーニングラードの工場で組み立てられる予定だ。「Amber」の特徴は、100%ロシア生産であること、モーター、インバーター、電池などの部品はすべてロシアで開発・製造され、電池に関しては、Avtotorは購入またはリースを選択できる柔軟なアプローチを提供し、手頃な価格で販売することを目指している。
ロシア初のEVの登場は、ロシア自動車市場の大きな変革の一環である。ウクライナ戦争に関連した国際制裁の結果、欧米やアジアのメーカーが撤退した後、中国メーカーが急速に台頭し、市場の45%近くを占めている。今回、初のプロトタイプを発表したことで、ロシアは自動車分野での自主性を追求していることを示した。ロシアでは、中国製の品質が他の自動車メーカーより劣っていると思われがちであることが、これを後押ししている。ロシアの自動車評論家ヴャチェスラフ・スボボチン氏は、「中国車の品質は平均以下だ。見た目は問題なくても、中を見れば、技術的な判断が甘かったために壊れている部品がある」と評している。