米テスラ社のライバルとされている中国EVメーカーXpengのブライアン・グー副会長が英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」(FT)のインタビューを受けて、世界的なEV競争で生き残る自動車メーカーはわずか10社になるであろうとの見解を示した。FT紙2023年4月25日付記事の概要を以下にまとめる。
Xpengについて
本社は広東省南部の広州にあり、2014年に設立された。2020年には米国ニューヨークでの新規株式公開(IPO)の資金調達額を15億ドル(約2078億円)に引き上げたが、現在、世界最大の自動車市場となっている中国国内で激しい競争に見舞われている。2022年の販売台数は12万台を超え、2023年第一四半期には中国のEVメーカーの販売台数ランキングにおいて第12位になったが、テスラ社が価格を引き下げたことで、売上高が50%落ち込んだ。このためXpengは追随を余儀なくされ、4つのモデルのうち3つのモデルの価格を13%引き下げた。
「300万台クラブ」
グー副会長によると、中国企業が世界規模の自動車メーカー入りを果たすには、少なくとも年間300万台の売上げが必要である。世界最大の自動車メーカーであるトヨタは2022年に1050万台の車を、これに対してテスラ社は130万台の車をそれぞれ販売した。中国は2022年にドイツを抜き、世界最大の自動車輸出国である日本を追い抜こうとしている。同時に、成長の鈍化と激しい価格戦争により、世界最大の自動車市場である中国では、低コスト自動車メーカーが崩壊の危機に瀕している。「300万台クラブ」に入るためには、中国国内だけのプレーヤーではだめで、グローバルプレーヤーでなければならない。
5~10年後には自動車メーカーは10社に
今後5年から10年後には、より集中した市場になり、グローバルな市場においては、おそらく自動車メーカーの数は10社以下になるであろう。
米中関係について
米中関係の悪化がXpengの海外展開計画を複雑にしている。中国のネット通販最大手アリババ・グループの支援を受け、自動運転に多額の投資を行っているXpengは、欧州での成長を2023年の目標としているが、米国で自動車を販売する当面の計画はない。中国ブランドの米国進出についてグー副会長は、「現在では難しいかもしれないが、時間をかけて研究し、市場にアクセスする方法を見つける必要がある。課題はあるものの、中国国外における成長機会は多い」と語った。Xpengは、他の中国の電気自動車メーカーと同様に、革新的な半導体をNvidiaやQualcommを含む米国のチップ設計者に依存している。このため、米国政府が最先端のチップ技術に対する中国のアクセス制限を強化し、中国の自動車メーカーが多大な影響を被る可能性があるとの懸念が高まってる。「今のところ、Xpengのパートナーシップは、政治的な影響は受けていないし、もし規制による影響が及び始めたら、中国産業全体が解決策を見出すであろう」とグー副会長は語った。
【参考】FT紙の記事は以下のURLで参照できる。
https://www.ft.com/content/852fd11c-46dc-4d14-8254-37aa360470f7