2023年9月25日、ロイター通信等が米国大手自動車メーカーのフォードがミシガン州に建設中のLFPバッテリー工場の建設を休止した事を報道した。フォードは工場建設発表時に、中国の電気自動車用電池メーカー最大手のCATLとLFPバッテリーの技術とサービスの提供を受ける契約を締結した事を発表している。今回の工場建設休止は、全米自動車労組ストライキの影響や、中国技術への依存に対する米国共和党の批判が原因ではないかと報じられている。
フォードの工場建設計画について
2023年2月、フォードはミシガン州に35億米ドルを投資し、CATLの技術支援を受けLFPバッテリー工場を建設する事を発表した。フォードは既に韓国SK Onと提携し、ケンタッキー州とテネシー州に三元系バッテリー工場の建設を行っている。
LFPバッテリーは、三元系バッテリーよりエネルギー密度が小さいが、ライフサイクルが長く急速充電特性に優れ、入手し易いFeを使用するので材料コストが安いという特徴がある。韓国大手電池メーカー三社(SK On、LGエナジーソリューション、サムスンSDI)はLFPバッテリーは開発段階で、LFPバッテリーはCATLやBYD等の中国電池メーカーのみが量産を行っている。中国CABIA(China Automotive Battery Innovation Alliance)の2023年1月-10月中国国内の容量(GWh)単位のEV電池搭載量統計によると、LFPバッテリー68.1%、三元系バッテリー31.8%でLFPバッテリーのEV電池搭載量が三元系の2倍以上となっている。
米国インフレ抑制法(IRA)について
2022年8月に成立した米国インフレ抑制法(IRA:Inflation Reduction Act)では、電池原料中、または電池部品中の北米およびFTA締結国での一定の製造割合を満たしたEVを新車で購入する場合、最大7,500米ドルの税を控除する。そのため、韓国大手電池メーカーは自動車メーカーと提携し米国内に多くのバッテリー工場を計画し、一部は生産を開始している。
一方、「懸念される外国の事業体(Foreign Entity of Concern)」による生産は税控除の対象から除外されるが、中国などを念頭に置いた「懸念される外国の事業体」の細則は2023年末に明らかにされる見込み。
ロイター通信の記事では、米国共和党はフォードのミシガン州のバッテリー工場計画が、米国民の税による補助金が中国へ流れる事を促進し、フォードが中国の技術に依存したままになる事を懸念をしている、と報じている。
米フォードのLFPバッテリー工場建設休止について、下記のURLより閲覧できる。
Reuters Business(2023年9月26日更新)
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