フランスのバイオエタノール業界団体であるCollective du bioéthanolは2019年1月29日に公表した「一年の総括」において、エタノール混合率85%のガソリン(E85)と無鉛レギュラ-ガソリン(SP95)にエタノールを10%配合したスーパーガソリン(SP95-E10)の国内での売り上げが2017年に続き2018年にも増大したことを報告した。
E85の2018年の売り上げは前年比で55%増大した。E85の2017年の販売量は約1億1800万リットルであったが、2018年の販売量は約1億8300万リットルであった。また、E85を販売しているガソリンスタンドは2017年12月時点で973カ所であったが、2018年12月までに1106カ所に増加している。
2018年12月時点の自動車燃料市場における占有率は、SP95-E10が47%(前年同時期43%)、SP95が30%、無鉛ハイオクガソリン(SP98)が21%、E85が2%である。Collective du bioéthanolは、2018年から2019年にかけて、E85の販売量が40~50%増大し、自動車燃料市場におけるSP95-E10の占有率が50%を超えるものと予測している。
ガソリンスタンドでのリットル当たりの価格は、E85が0.68ユーロ(125円換算で約85円)、SP95-E10が1.42ユーロ(約178円)、SP95が1.46ユーロ(約183円)、軽油(ディーゼル燃料)が1.43ユーロ(約179円)である。全国農業アルコール生産者組合(SNPAA)によれば、E85を使用して年間1万3000 km走行した場合、平均500ユーロ(約6万2500円)の節約になるという。
現在、フランスのガソリンスタンドの66%がSP95-E10を推奨しており、12%がE85を推奨している。同国ではガソリンへのバイオエタノールの混合率の目標が2018年には7.5%と設定されていたが、2019年については7.9%とされ、2020年にはさらに8.2%に引き上げられる。
フランスでは現在、ディーゼル燃料への課税額がガソリンよりも低いことから、ディーゼル車の方がより普及しているが、政府はディーゼル燃料への課税額をガソリンと同水準に引き上げる方針である。このことが、バイオエタノール産業が2017年に伸長する要因の一つとなった。2018年以降、燃料税増税に対する抗議デモに端を発した「黄色いベスト運動」が燃料産業全体にとって追い風となっている。政府は2018年12月、運動の鎮静化を図るために燃料税の増税を凍結した。