英運輸省は2021年7月14日、国内のあらゆる交通手段のCO2排出量を2050年までに正味ゼロにする方針を、世界に先駆けて打ち出した。大気の質の改善し、人々の生活をより健康なものにし、環境負荷の低減に寄与する雇用を多く創出することを目指す。
本件のプレスリリースは下記URLで参照できる。
6段階の戦略
運輸省は今回、こうした政策方針の柱となるガイダンス(下記URLで参照可能)を発表し、6つの戦略を優先度順に挙げた。
https://www.gov.uk/government/publications/transport-decarbonisation-plan
- 公共交通機関の利用や徒歩・自転車を使った移動の促進
- 各種自動車の脱炭素化
- 貨物輸送の脱炭素化
- 英国を環境負荷の低い輸送に寄与する技術革新のハブに
- 地域に根差したCO2排出削減ソリューション
- 世界経済におけるCO2排出削減(航空業界の脱炭素化)
自動車の脱炭素化を一段と推進
同省は各種自動車の脱炭素化の一環として、ディーゼルまたはガソリンを燃料とする大型貨物自動車(HGV)の新車販売を段階的に禁止する可能性について意見公募を開始した(下記URLから9月3日まで意見提出可)。総重量が3.5~26トンのHGVは2035年、26トン超のHGVは40年に禁止対象とすることが提案されている。なお乗用車とバンに関しては、35年から全ての新車の走行時CO2排出量をゼロにする計画が既に定められている。
さらに、自動車メーカーに乗用車、新車、HGVの燃費改善を義務付ける方向での規制枠組み見直しについても意見を公募し始めた(下記URLから9月22日まで意見提出可)。
その他の交通モード
運輸省はこれまでに、徒歩や自転車での移動を促す目的で20億ポンド(約3000億円)、企業や個人により環境負荷の低い交通手段への切り替えを促す目的で28億ポンドを投じることを決めている。50年までには鉄道システムのCO2排出量の実質ゼロ化を目指す。
航空業界にも脱炭素化の取り組み強化を求め、CO2排出量の正味ゼロ化の期限を50年から40年に前倒しすることを提案し、意見公募を開始した(下記URLから9月8日まで意見提出可)。
https://www.gov.uk/government/consultations/achieving-net-zero-aviation-by-2050