仏政府、自動運転車の試験で4200万ユーロを支援、新たに16試験を実施へ

公共輸送向け自動運転車の公道走行の解禁を早くて2020年に目指すフランス政府が、新たに16試験の実施を資金援助すると発表した。

 

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フランスのエリザベット・ボルヌ国務大臣・環境連帯移行大臣付交通担当大臣は2019年4月24日、自動運転車の試験で4200万ユーロ(約52億円)を支援し、新たに16試験を実施する旨を明らかにした。

 

フランス政府は2018年5月に「自動運転車開発国家戦略」を発表し、2020~2022年を目処に公共輸送向けの自動運転車の公道走行を解禁する方針を示し、法制度の整備を進めている。また、個人の移動、公共輸送、貨物輸送及び物流輸送の分野における自動運転車の試験プロジェクトを実施するため、政府が資金支援する「輸送用自動運転車試験プロジェクト」(EVRA)の公募を2018年6月に開始した。

 

このほどEVARの枠組みで新たに16件のプロジェクトが承諾され、フランス国内各地で自動運転車の実証試験が実施される。フランスにおける自動運転車による走行距離は今後2022年までに100万kmに達する見通しである。承諾されたプロジェクトの概要は以下のとおり。

 

【パリ】

3件のプロジェクトが実施される。ヴァレオ社が地下駐車場内で自動駐車テスト車両12~15台を試験する。パリ交通公団(RATP)はパリ市内左岸の14km区間でシャトルバス2台と電気自動車4台を用いた公共輸送サービスの試験を実施する。ヴァンセンヌの森では、将来の路線バスとして自動運転の電動バス「Navya」2台と「EasyMile」3台を用いた試験走行が実施される。

 

【イルドフランス地域圏】

PSAグループ及びルノー社が自動運転車を数台ずつ提供し、同時に並行走行試験を実施する。5万キロメートルの走行を通じて安全性の確認が行われる。Saint-Rémy-lès-Chevreuseでは、RATPが鉄道の駅と4 km以上離れた駐車場との間のシャトル電動バスとして「EasyMile」3台の走行試験を実施する。

 

【仏西部】

レンヌ第1大学キャンパスへの電動バスのシャトル運行試験においては、とくに交通渋滞時に他の輸送手段との相互運用性に関する実証試験が中心となる。ナントのCarquefou地区では、PSAグループとフランス国鉄(SNCF)が、7.2km区間で1時間当たり最大300人の乗客を輸送する電動バスの試験運転を行う。ナント市内では、路面電車T3線の終点と空港を結ぶシャトル電動バス3~4台の走行試験が行われる。ルーアンでは、ルノー社と大手公共交通機関のトランスデブ社が、電動バスの走行試験を現在行っている、さらに追加で6台を投入する。

 

【仏中部】

ヴィシーでは、トランスデブ社が電動バス「EasyMile」1台を歩行者及び他の移動手段と並行した状況で試験走行させる。クレルモンフェランでは、交通オペレーターのケオリス社が既存の路面電車及びバスの路線に沿って電動バスの走行試験を実施する。

 

【仏南部】

ソフィア・アンティポリスでは、電動バス2台の試験走行が実施されるが、1時間あたり最高180人の乗客を輸送できる可能性が示唆されている。モンペリエでは、ドロイドメーカー「Twinswheel」が配達ロボット2台を使って、地元産品を市内中心部の店やレストランに配達する試験が行われる。トゥールーズでは、医療施設とその駐車場のとの間の移動用に電動バス「EasyMile」1台の走行試験が行われ、1日350人の利用者が見込まれている。

 

(2019.05.01 Hg)

 

【参考】仏政府が2018年5月に発表した「自動運転車国家戦略」の詳細は以下のURLで閲覧が可能。https://www.ecologique-solidaire.gouv.fr/sites/default/files/90p%20VDEF.pdf