イスラエル第二の都市テルアビブ、2025年以降「汚染自動車」の市内走行禁止を検討

イスラエルの経済ポータルGlobesは2019年5月27日、同国の人口第二の都市テルアビブ(Tel Aviv)の当局が、大気汚染と騒音の削減を目的として、交通の電動化を進めるための戦略計画を策定中であることを伝えた。これによると、同計画には、2025年以降「汚染自動車(polluting vehicles)」を市内から締め出す措置が含まれている。

 

戦略の中心はエレクトロモビリティ

もっとも、Globesによると、同計画はまだ初期段階にあり、現時点ではこの「汚染自動車」の定義は発表されていない。ただし、テルアビブ市当局は、この先、バッテリー価格の低下と航続距離の延長に伴い、電気自動車(EV)需要は拡大するとの見通しに立っており、本戦略計画の検討において、エレクトロモビリティが中心的役割を担っていることはわかっている。そして、その対象は自家用車だけでなく、レンタカー、タクシー、そしてバスなどの大規模保有車両を擁する業者を対象とする計画も策定されている。

なお、一連の措置は、段階的にその適用が開始されることになっている。まずは2021年までに電動車を対象とする財政的インセンティブを導入する。その後、2022年~2025年にかけて、大規模保有車両の電動化に焦点を置いた措置が実施に移される。

 

エネルギー相は2030年以降ガソリンとディーゼル自動車の輸入禁止を計画

ちなみに、同国では、テルアビブ以外でも内燃機関自動車がいずれ禁止されることが見込まれている。Reutersによると、2018年10月、イスラエルのエネルギー・水資源省(Ministry of National Infrastructure, Energy and Water Resources)のユバール・シュタイニッツ(Yuval Steinitz)大臣は、2030年以降、新しい内燃機関自動車の輸入を禁止するためのマスタープラン案の概要を説明した(同案について、シュタイニッツ大臣は2018年2月に初めて公にしている。そのポイントは以下の通り。

  • 2030年以降、新しい乗用車はすべて電気で走行するものとする。さらに、新しいバスとトラックも電気あるいは天然ガスを動力源としなければならない(注:近年、イスラエル領内では巨大な天然ガス田が複数発見されており、これに合わせて国内発電所の切替えが始まっている)。

政府は、まずは電気自動車(EV)の「クリティカル・マス」(critical mass、EV普及を効率よく進めるための最低必要量)を創出し、化石燃料からの完全脱却を目指す意向である。このためには、2025年頃までに国内を走行する電動車の台数をおよそ17万7000台まで引き上げる必要がある。