フランスで「モビリティ指針法案」をめぐり下院での審議が始まった。同法案では、自転車やライドシェア通勤を優遇する措置が含まれている。
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フランス下院で「モビリティ指針法案」(通称LOM法案)の審議が始まる2019年6月3日に、エリザベット・ボルヌ国務大臣・環境連帯移行大臣付 交通担当大臣がLOM法案の内容について説明を行った。同大臣によると、同法案は通勤費の均衡化を図るなど、フランス市民の購買力向上に貢献するものであると語った。同大臣の発言概要は以下のとおり。
- フランスでは、一般の家計の約18%が交通費にあてられ、中でも通勤費の割合が大きくなっている。LOM法案では、年間数約ユーロの節約が可能になる規定が含まれている。具体的には、従業員50人以上のすべての企業に対して、義務化されている労使協議を行う際に通勤の問題について話し合う規定が設けられれている。
例えば、シェアライドでの通勤が可能になるよう就業時間を調整すること、自転車通勤やテレワークを奨励するインセンティブを設けること、さらには通勤手当の支給について交渉がなされるようになる。
- 現行規定では、企業の通勤手当は、公共交通機関の定期の費用の50%を負担することとされている。車を利用する従業員に関しては、ガソリン代として年間200ユーロまでが税控除されることになっている。自転車を利用する従業員は、年間200ユーロの手当てを受けることができる。
LOM法案では、①持続可能モビリティプラン:ライドシェアあるいは自転車で通勤する従業員への手当てとして年間400ユーロまでを税控除とする、②電気自動車、プラグインハイブリッド車及び水素自動車で通勤する従業員に対して年間400ユーロの手当ての支給を可能にする、③モビリティ小切手:ガソリンスタンド、ライドシェア・ぷラットフォームあるいは自転車販売店などで使用できる専用の小切手を作成する、の3項目の規定が追加されている。
【参考】LOM法案をめぐるエリザベット・ボルヌ国務大臣・環境連帯移行大臣付 交通担当大臣の発言内容はURLで閲覧が可能。