フランスで「モビリティ指針法案」をめぐる下院での第一読会が終わり、同法案が可決された。
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フランス下院で「モビリティ指針法案」(通称LOM法案)の第一読会の審議が2019年6月18日に終わり、同法案が可決された。賛成は372票、反対は40票、棄権は144票であった。同法案は今後、両院協議会(CMP)にて協議が行われ、票決で過半数が得られれば法制化されることになる。
LOM法案が成立すると134億ユーロの投資が必要になると推定されており、今回の可決に至るまでに3000件以上の改訂が施された。エドゥアール・フィリップ仏首相は、翌6月19日の国会演説の中で、LOM法案が今夏前に成立することを望むと語った。今回、下院で可決されたLOM法案の主要な内容は以下のとおり。
《電気自動車関係》
- ライドシェアあるいは自転車で通勤する従業員への手当てとして年間400ユーロまでを税控除とする。
- 上記の措置を「持続可能モビリティプラン」と名付け、通常の公共交通機関の定期の費用の50%の手当てに加えて、追加で支給することができる。
- さらに電気自動車、プラグインハイブリッド車及び水素自動車で通勤する従業員に対しては、年間400ユーロの手当てを支給することができる。
- 自動運転車をめぐる法制度の整備を進め、2022年を目処に公共輸送向けの自動運転車の公道走行を解禁することを目指す。
《速度制限と大気汚染関係》
- 現行の国道・県道の制限速度である時速80kmに関して、各県の判断で制限速度を以前の速度に上方修正できるようにする。
- 大気汚染発生時に、一定時間帯に旧型車両の通行を禁止する「低排出ゾーン」(ZFE)制度をすべての市町村が適用することができるようにする。大気汚染濃度が規定を超えている地域においては、ZFEの適用を義務化する。
- 化石燃料(ディーゼル、ガソリン、天然ガス)を使用する自動車の販売を2040年に禁止する。
《航空機燃料税関係》
- 新たな交通手段の開発のための資金を調達するうえで、航空機燃料税を設置する案に関しては、廃案となった。3000万ユーロ(約36億円)の資金調達が可能になると推定されていた。
【参考】下院で可決されたLOM法案の内容は以下のURLで閲覧が可能。
http://www.assemblee-nationale.fr/dyn/15/dossiers/alt/loi_orientation_mobilites